第111回医師国家試験 G問題 問29 [111G29]

111G29
死亡診断書および死体検案書について誤っているのはどれか.

a 死因統計の資料となる.
b 死亡を医学的,法律的に証明する.
c 死体を検案したときは保健所に届け出る.
d 診療継続中の患者以外の者が死亡した場合,死体検案を行った上で死体検案書を交付する.
e 診療継続中の患者が診療に係る傷病と関連しない原因で死亡した場合,死体検案を行った上で死体検案書を交付する.




正答は【c】です。


[a][b] 正しい。死亡診断書や死体検案書は、"死因統計の資料"や"人間の死の医学的・法律的な証明"という意義があります。

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[c] 誤り。死体検案時の保健所届出は不要です。死体を検案し"異状を認めた場合"は所轄警察署に届け出なければなりません。(医師法第21条) なお検案をすること自体においては警察に届け出る必要はありません。

[d] 正しい。「診断継続中の患者"以外"の者が死亡した場合」は、それが生前に診療していた傷病に関連しようがしまいが"死体検案書の交付"が適切です。

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[e] 正しい。「診療継続中の患者が診療に係る傷病と関連しない原因で死亡した場合」は、それが自らの診療管理下にある患者か否かに関わらず"死体検案書の交付"が適切です。



死亡診断書・死体検案書に関する問題です。

どれも「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」に記載されていることばかりです。(参考リンク:厚生労働省HP)

特に[d]や[e]を出題するあたり、出題委員の先生の深い理解がうかがい知れますね。


上記マニュアルも、実際に記載する医師にとっては実用的な記載になっているのですが、

なかなか実際に書く機会のない医学生・受験生にとってはやはりとっつきにくいかも知れません。

各大学で「死亡診断書(死体検案書)を実際に書いてみよう!」な実習がおそらくあると思いますので、その際にきちんと理解しましょうね。



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