縊頚は窒息死ではない?

縊頚[イケイ]とは...要は「首を吊ること」です。(参考記事:頚部圧迫)それではどうして縊頚では死に至るのか?実は「気道が閉塞して苦しくなって...」というイメージとは若干違います。今回は"縊頚の機序"について書いていきたいと思います。結論から言ってしまうと、縊頚で死に至る機序は「脳への血流が途絶えて脳虚血が起きるから」という理由がメインです。脳虚血が起きると速やかに意識消失を起こします。このため

キャスパーの法則 (Casper's law)

今回は「環境による腐敗スピードの違い」を取り上げます。法医学でも有名な"キャスパーの法則"です。ドラマや小説にも時々出てきますよね。一見単純ですが、実は多くの注意点があります。今回はそういった点も含めて"キャスパーの法則"をみていきたいと思います。【キャスパーの法則 [Casper's law, Casper's dictum]】:「遺体の腐敗状況において、平均気温が同じ場合、『地上の1週間(or

物体検査

目の前に"液体"があります。「その"液体"が何なのか」を知るためにはどうすればよいでしょうか?法医学では様々な体液を扱います。(参考記事:「法医学における体液」)↑ような「目の前の物体が何なのか?」を調べるために行われる検査を法医学では"物体検査"と呼んでいます。今回はこの"物体検査"を取り上げます。法医実務では、"各物体に特異的な物質"を検出することで、物体・試料を特定しています。例えば、・血液

『異状死』レビュー

2022年9月29日発売 [900円+税] 小学館/小学館新書 (出版社URL)『異状死 日本人の5人に1人は死んだら警察の世話になる』新書判 全288頁 (著者:平野久美子)「多死社会」で起きる"異常"事態《イジョウ死》と聞けば多くの人は「異常死」という漢字を思い浮かべ「不審な死に方」を想像するが、本書で取り上げるのは《異状死》である。検視(検死)というと、殺人事件や事故死、医療ミスによる死亡な
116F3966歳の男性.自宅アパートから出火し,焼け跡から死体で発見された.死因等の特定のために司法解剖された.剖検時の所見でこの男性が火災発生時に生存していたことを示すのはどれか.a 頭蓋内の燃焼血腫b 頸部皮膚のⅢ度熱傷c 気管内の煤付着d 肘関節屈筋の熱収縮e 背部の死斑正答は【c】です。【生活反応】=傷害発生時に生存していたことを示す所見。(参考記事:「生活反応」)[a] 誤り(=生活反
116A572ヵ月の女児.けいれん重積のため救急車で搬入された.母親によると夜間寝ていてけいれんが始まった.救急車内で心肺停止となり心肺蘇生を試みたが,来院時は心拍の再開がなく,対光反射は消失していた.蘇生を継続したが心拍の再開がなく死亡が確認された.母子手帳によると妊娠分娩歴に異常はないが,1ヵ月健診は受診していない.顔面や体幹に新旧混在した皮下出血の散在を認めた.死後に行った頭部CTでは両側に
115F15死亡確認された成人遺体で,背部から下腿後面にかけての死斑と顎関節および四肢関節の硬直がみられた.角膜の混濁はみられず,直腸温は32℃であった(外気温20℃).推定される死後経過時間はどれか.a 1時間以内b 6〜12時間c 24〜30時間d 36〜42時間e 48時間以上正答は【b】です。[b] 正しい。直腸温(32.0℃)は外気温(20.0℃)に一定していないので、死後経過時間の推定
115C4878歳の女性.原因不明の発熱が続くため入院した.原因精査が進められる一方で病状は悪化し,入院7日目に敗血症性ショックで死亡した.担当医は家族に病理解剖の説明をし,承諾を求めることにした.家族への説明として正しいのはどれか.a 「ご遺体は火葬した後にお返しします」b 「死因の究明が病理解剖の主な目的です」c 「摘出した臓器は病院で永久に保管します」d 「ご遺体は病理解剖後1ヵ月間病院でお
115C3875歳の男性.慢性C型肝炎による肝硬変,食道静脈瘤の存在が指摘されていたが,高血圧症と脂質異常症とともに特に治療は受けていなかった.吐血し意識を失った状態で倒れているところを家族が発見した.搬送先の病院で内視鏡的食道静脈瘤結紮術を施行したが止血に至らず,死亡した.この患者において死亡診断書のAに記入すべき疾患はどれか.a 肝硬変b 高血圧症c 脂質異常症d 食道静脈瘤e 慢性C型肝炎正
114F2医療機関に通院中の患者が自宅で突然死した場合について,正しいのはどれか.a 死体検案は警察が行う.b 司法解剖には遺族の承諾は必要ない.c 監察医が行う解剖には遺族の承諾が必須である.d 最終診察から24時間以内であれば死体検案は必要ない.e 死体検案で異状が認められる場合の届出義務は医療法で規定されている.正答は【b】です。[a] 誤り。(死体)検案は"医師"が行います。事件性の有無を