2024年4月発売 6050円 [5500円+税] 南山堂 (出版社URL)
『学生のための法医学 改訂7版』B5判 全356頁 (著者:久保真一, 神田芳郎, 池松和哉, 佐藤寛晃)
法医学の扉を開けるあなたへ!未来の医療につながる一冊
はじめて法医学を学ぶ学生を対象に執筆,編集した教科書の改訂7版.
初版から受け継がれた編集方針は変更せず,昨今の医学教育の変化に対応できるようアップデートした.医学教育の改革に伴い,医学教育モデル・コア・カリキュラムが改訂され,医師国家試験や共用試験における法医学の重要性が高まっている.7版では医学教育モデル・コア・カリキュラムとの関連性を強調し,過去の試験問題も含めて解説を充実させた.また,急速な社会構造の変化や医療の進展に対応し,法医学の知識が在宅医療などでも重要であることを認識できる内容になっている.
第一線で活躍する執筆者による,学生のみならず,臨床医をはじめ死因究明などに携わるあらゆる分野の方々にご活用いただける一冊.
久しぶりに法医学の教科書が出ました。
この前が、おそらく2022年に出版された「標準法医学 第8版」だったと思うので、およそ2年ぶりです。(参考記事:「標準法医学 第8版 レビュー」)
法医学の教科書は発刊頻度が少ないのが非常に残念ですね。
この【学生のための法医学】は有名なシリーズで、今回の改訂でもう7回目です。
「改訂が多い」ということは、「廃版になることなく)都度ちゃんとアップデートされている」ので、素晴らしいですね。
(※ちなみに、現在おそらく法医学において継続して最も改訂されているのは、先の「標準法医学」の第8版でしょうか。)
内容はもちろん教科書として一通りの法医学の一般事項に関してはきちんと網羅されています。
その上で...さすがに最新の出版になるので、随所に最新の情勢を反映した記載が目立ちます。
新型コロナウイルス感染症や死亡時画像検査、遺伝子多型など。
特に"死亡時画像検査"の項目は、他の教科書よりも画像が豊富で、記載も若干多めな印象を受けます。
また、周産期死亡(嬰児死)や幼児虐待に関する記載も割と詳細に記載されています。
全体として完成度も高く、大変満足のいく教科書だと思いますねー!
かねてから書いているように、日本語の法医学の教科書は、どの教科書もある程度、大筋の記載内容は似通っています。
従って、勉強しようとする際も、"有名所"の教科書を選べばそこまで大きく問題になることはありません。
ただ唯一注意すべきは、どの教科書を買うにせよ「最新版を買うこと」です。
進歩の遅い法医学とはいえ、やはり日に日に進歩はしています。
なので、基本的に「教科書は新しいほど良い」となってきます。
そういう意味では、今回の本は(内容は当然まともですし)、最も新しく発行された教科書になるので、現時点で最高のチョイスと言えるかも知れませんね!