第83回医師国家試験 A問題 問97 [83A97]

83A97
医師の届け出義務について誤っているのはどれか.

a 食中毒患者を診断したときは,直ちに最寄りの保健所長に届け出なければならない.
b 風疹患者を診断したときは,24時間以内に最寄りの保健所長に届け出なければならない.
c 異常死体を検案したときは,24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない.
d 麻薬中毒者であると診断したときは,速やかに都道府県知事に届け出なければならない.
e 2年ごとに都道府県知事を経て厚生大臣に現状を届け出なければならない.




正答は【b】です。


[a] 正しい。食中毒が発生した場合には保健所への届け出義務があります。食品衛生法 第63条「食中毒患者等を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない。」この規定により、食中毒患者の診断医ないし検案医に届け出義務があります。

[b] 誤り。確かに医師には風疹患者の届け出自体はあります。感染症法(正確には厚生労働省令)によって"風疹"は5類感染症に指定されています。本来5類感染症は「"7日以内"の届け出」となっていますが、侵襲性髄膜炎菌感染症・麻疹・風疹この3だけは「直ちに届け出」となっています。従って、"24時間以内"は誤りとなります。

[c] 正しい。医師法 第21条「医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。」この条文の通りですね。

[d] 正しい。麻薬中毒者は、麻薬及び向精神薬取締法 第58条の2で「医師は、診察の結果受診者が麻薬中毒者であると診断したときは、すみやかに、その者の氏名、住所、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項をその者の居住地の都道府県知事に届け出なければならない。」と定められています。"すみやかに"届け出なけれなばりません。

[e] 正しい。この規定は医師法 第6条第2項で規定されており「医師は、厚生労働省令で定める二年ごとの年の十二月三十一日現在における氏名、住所その他厚生労働省令で定める事項を、当該年の翌年一月十五日までに、その住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出なければならない。」となっています。医師になったら2年毎にきちんと届け出ましょう。



医師の届出義務の、特に届出期間に関する問題です。

届出義務自体の問題はポピュラーですが、"届出期間"となると格段に難しくなります。

特に5類感染症の中でも特別扱いの"侵襲性髄膜炎菌感染症・麻疹・風疹"における「診断後、直ちに届け出」の規定はかなり細かい知識です。

ここまで来ると、法律系資格の試験みたいですね。。


今回の問題をまとめると、

・食中毒の診断後は"直ち"に
・1〜4類感染症、侵襲性髄膜炎菌感染症・麻疹・風疹は診断後"直ちに"
・上記3疾患を除く5類感染症は診断から"7日以内"に
・麻薬中毒の診断後は"すみやか"に
・異状を認めたら"24時間以内"に
・医師は自身の情報を"2年に1度"


他にも出題しようと思えば、届出項目なども挙げられますが、それを言い出したらきりがないので、

余裕があって、過去問で出題された内容くらいを覚えられれば十分だと思います。



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