法医学教室の人員数

全国の法医学者の人数は"140人"や"150人"などとよく言われます。

ここでの法医学者は"法医認定医"の数を言っています。

しかし、法医学者はそれだけではありません。

医師以外にも歯科医師や検査技師といった法医学者達が法医学で働いています。


それなら、法医学教室で働いている人達を全員合わせると一体どれくらいの人数が法医学教室で働いているのでしょうか。

今回はこれについて書いていきたいと思います。



結論から書くと、

【全国で520人】

です。


厚生労働省が公開している資料を参考に書いていきます。



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『520人(全国) = 152人(常勤医師) + 116人(常勤歯科医師等) + 114人(大学院生等) + 138人(常勤職員※解剖補助員等)』


この数字には"非常勤"の職員は入っていないようなので、そういった方々を含めるともっと多くなると思います。

また大学院生は厳密に言えば"学生"なので、純粋な職員で言うと[406人]です。



皆さんはこの数字をどう感じますかね。

意外と多く...もないですよね。。


法医学医で言えば、全国的に医師不足も叫ばれていますが、「法医学医の偏在」も問題となっています。

ただでさえ数の少ない法医学医なのに、地方などでは『法医学医が県に一人しかいない』というところが実際に14県もあるのです。

そうなってくると、解剖助手はいるにしても、当然その地域の解剖はワンオペになってしまうのでそうそう休めません。

解剖は解剖して終わりではなく、その後の鑑定書も作成しなければなりませんので、単に解剖の負担を軽くするだけでは解決になりません。

解剖要請は待ってくれませんので次から次へと積み重なってきます。

なので、そういった地域の法医学医はかなり苦労されていると思います...。



法医学を目指したいという学生さんを増やすのもそうですが、その学生さん達を受け入れる法医学教室のポストを増やすことも絶対的に必要です。


法医学教室は基本的に大学から(大学の先生としての)お給料をいただいています。

そこは基礎医学系の他の教室のと一緒な感じです。

そのためには、教授・准教授・講師・助教といったポストが付いていなくてはいけません。

大学病院とは違うので"医員"という役職はありません。


こういった役職の数は当然限られていますからね。。

「せっかく大学院生になっても卒後のポストが...」となってしまいかねないことを思うと、教室への勧誘も安易にできないという事情はあるんです。

それなのに、前述のように法医業務はの負担はかなり大きい...と。



この"法医学の闇"はそんな簡単に解決できる問題でないと思います。

もちろん将来の法医学者のためでもありますが、自分自身のためにももっと法医学者の労働環境向上をさせていきたいというのが本音です。。

この『全国で約500人』という数字が今後どのように推移していくか注視ですね。