法医学と薬剤師

法医学においては、医師や臨床検査技師などの資格を持った人が活躍しています。(参考記事:「いろいろな法医学者」)

法医学で活躍する国家資格も上記2種だけでは当然ありません。

歯科医師・看護師・診療放射線技師...etc。

その中でも今回は"三師会"のひとつにも数えられる"薬剤師"について書いていきたいと思います。



法医学における薬剤師さんは、

・"薬毒物分析"という法医実務
・法医学教室における"研究"

上記の2点で特にご活躍されている印象があります。


詳しくみていきましょう。



このブログでは(意図せず)あまり触れてきませんでしたが、実際に法医学者の中にも薬剤師さんはいらっしゃいます。


まず特に活躍されているのが法医実務における"法中毒"(法医中毒学)分野です。

"法中毒"というのは、法医学の中でも血液や尿などに含まれる薬毒物の分析を中心とする学問領域です。

「生体試料における種々の薬物や物質を扱う」ということで、まさに薬品に関するスペシャリストである"薬剤師"のフィールドですよね。


私の知っている薬剤師免許を持つ法医学者は、解剖に直接参加こそしませんが、解剖の各種検査を一手に引き受けていらっしゃいます。

一言で"薬毒物分析"といっても、分析したい薬毒物毎に適切な試料から採取・保存方法、分析方法、結果の解釈など、多くの重要ポイントがありますからね。

死因究明の現場においても薬剤師法医学者は強い味方です。



また法医学教室によっては「薬剤師の先生がその法医学教室の研究分野の一翼を担っている」なんてこともあります。

つまり『法医学教室における研究を薬剤師の先生が精力的に進めている(ところもある)』ということですね。


個人的な意見にはなりますが、医師や歯科医師と比べて薬剤師は"研究者"という顔も持っている印象が私にはあります。

医学部や歯学部での教育は、やはり最終的に臨床医学に傾いていきます。

一方で薬学部では"創薬"の観点からか、"臨床"だけでなく"研究"についてもある程度しっかり勉強するようです。(※薬剤師は英語で[Chemist](=化学者)とも言います)

なので、薬剤師はリサーチマインドをお持ちの先生が多い気がします。

そして、法医学においても例外ではなく、実際に薬剤師法医学者の先生がその知識やマインドを大いにふるって法医学に関する研究をされています。



以上、"(医)薬品関連"という専門を持つ薬剤師さんは法医学においても大いに活躍しています。

このように法医学は決して医師(法医学医)だけで進めているわけではなく、多くの法医学者が力を合わせて成り立っているわけです。

法医学では様々なスペシャリストが求められているのです!