死蝋化(死ろう化)

今回はご遺体がロウソクのようになる"死蝋・死蝋化"について書いていきたいと思います。


この"死蝋"は"ミイラ"と同じカテゴリに分類されます。

"永久死体"というカテゴリです。

死蝋以外の永久死体についても、また後日書いていきたいと思います。



"死蝋"は『身体がロウソクないしチーズのように変化した状態』を指します。

灰色〜薄い黄白色をしていてモロモロしています。

そしてこの死蝋になることを"死蝋化"と言います。


死蝋化には、周囲の環境が大いに影響しています。

・水中
・湿潤で空気の流通が悪い土中

です。(ちなみにミイラは乾燥環境)


腐敗が起きてしまいますと、死蝋化には至りませんので、腐敗が進まない低温環境が必要となります。

最も起こりやすい水中で1.2ヶ月月後〜1年程度かけて、土中なら数ヶ月〜数年かけて皮下脂肪から始まり、筋肉、臓器と全身に死蝋化が進んでいきます。


化学的には(石)鹸化と同じ原理です。

身体の中性脂肪がアルカリによって脂肪酸+グリセリンに分解され、その脂肪酸がアルカリイオンと反応することで起きます。

また周囲の細菌が死蝋化を進めたりもします。



今回は皆さんにとって少し馴染みのない言葉だったかもしれません。

しかし、我々法医学者にとってはしばしば遭遇するご遺体です。

腐敗・分解が進み形が無くなる、ミイラ化する、それ以外のご遺体の終着点のひとつと言えます。