第93回医師国家試験 A問題 問8 [93A8]

93A8
誤っている組合せはどれか.

a 死産の定義 - 死体解剖保存法
b 医師免許の登録 - 医師法
c 病院の定義 - 医療法
d 人工妊娠中絶 - 母体保護法
e 堕胎の禁止 - 刑法




正答は【a】です。


[a] 誤り。死産の定義は"死産の届出に関する規程"(厚生省令)によって定められています。死体解剖保存法には、病理解剖や系統解剖など各種解剖、監察医制度について規定されています。

[b] 正しい。医師法には、医師免許や医師国家試験についてが書かれています。

[c] 正しい。医療法では、病院や診療所の開設や管理に関するルールが定められています。"病院"は「医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、二十人以上の患者を入院させるための施設を有するもの」と定義されています。

[d] 正しい。人工妊娠中絶については、母胎保護法 第14条で規定されています。
第十四条 都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。
一 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
二 暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫かんいんされて妊娠したもの

[e] 正しい。堕胎については刑法 第212〜216条に書かれています。堕胎をすると刑法によって罰せられますが、[d]の"母体保護法による人工妊娠中絶"については違法性が阻却されます。



医学用語と法律に関する問題です。

どれもオーソドックスな項目ですね。


今回の問題では、人工妊娠中絶や堕胎について出題が目立ちます。

原則として、堕胎や妊娠中絶というのは刑法によって罰せられる行為とされています。

しかし、母体保護法の条文に当てはまるケースにおいては、両親の同意の下、指定医師による人工妊娠中絶が例外的に認められています。

条件は、前述の2通りです。


またこの"母体保護法による人工妊娠中絶"は、同法によって「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に」行うことと定められています。

日本においては"妊娠22週未満(までの人工妊娠中絶)"が認められているのが現状です。

つまりは「同意の下の指定医師による人工妊娠中絶であっても、妊娠22週以降では認められない」ということです。


病院の定義もそうですが、"数字"は試験にも出題しやすいですから、

・病院は20床以上
・人工妊娠中絶は22週未満
・死産(届)は妊娠第四月(=12週〜)以後

こういった数字は覚えていてもいいかも知れません。



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