第94回医師国家試験 A問題 問30 [94A30]

94A30
死体検案について正しいのはどれか.3つ選べ.

a 医師のみが行うことができる.
b 対象は異状死体である.
c 遺族の承諾が必要である.
d 死体を解剖して行う.
e 死体を裸にして観察する.




正答は【a, b, e】です。


[a] 正しい。死体の"検案"については医師のみに認められています。同じく"死体検案書"についても医師のみが交付可能であり、歯科医師も発行可能な"死亡診断書"や、助産師も交付可能な"死産証書・死胎検案書"とは違っています。

[b] 正しい。ご遺体発見後の流れとしては、まず異状があるか?ないか?が判断され、「異状あり」の場合は検視等を経て医師が検案を行い、場合によっては死因が特定されます。従って検案の対象となるご遺体は、"異状死体(=確実に診断された内因性疾患で死亡したことが明らかである死体以外の全ての死体。)"となります。

[c] 誤り。"検案"は遺族の承諾は不要です。"解剖"についても"司法解剖"や"行政解剖"、"調査法解剖(新法解剖)"は遺族の承諾は不要ですが、"承諾解剖"や"病理解剖"では承諾が必要です。

[d] 誤り。検案は"死因等を判定するために死体の外表を検査すること"です。あくまで"外表検査"に留まるため、検案に解剖は含まれません。

[e] 正しい。[d]の通り、検案は外表検査です。全身に異常がないか?きちんと確認するため、ご遺体を裸にした上で全身を観察する必要があります。



"検案"に関する問題ですね。

[d]で書いたように、まずは検案の定義を知っている必要があります。

検案:死因等を判定するために死体の外表を検査すること

その上で、問題を吟味していきましょう。


各選択肢ともそこまで難解なものではないですが、少し考え込むとすれば[b]でしょうか。

これを理解するには、ご遺体発見後の流れ↓を整理する必要があります。

cadaver-flowchart.jpg

従って「検案は"異状あり"の後に出てくる行為」なわけです。


このように「ご遺体に異状があるか?ないか?」というのはまず大きな分かれ道なのです。

そして、その異状の有無を判断するのは"医師"であり、極めて重要な行為なのです!



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