"法医学者になる前"の話を書きましたので、"後"の話でも...と思いましたが、、、
これが意外に書きにくいですね。
大学院生を終え晴れて法医学者となったら、後はひたすら経験値を増やしてレベルアップをしていくだけですから。
それでは話が終わってしまうので、今回は『大学院生(博士課程)と法医学者(教員)の違い』に注目しながら、法医学者になったら"何を"やっていくことになるのか?を書いていきます。
※この記事での「法医学者になる」とは「大学院博士課程を終え、法医学教員として大学に採用されること」を指しています。
ここでもやはり軸になるのが、法医学者の3大責務である【解剖・研究・教育】です。(参考記事:「法医学者の3大責務」)
(大学院生を終え)法医学者となったら、、、
①解剖:晴れて執刀医として主体的に解剖ができる
②研究:科研費を申請できるようになり本格的に研究ができる
③教育:正式に学生指導に当たることができる
詳しくみていきましょう。
①執刀医として解剖ができる
これは正確には"法医認定医"を取得してからかも知れません。
解剖はやって検案書を書いて終わりではなく、その後の検査も含め結果を吟味し、鑑定書や報告書を作成することになります。
検案書に記載される情報はほんのごくごく一部に過ぎません。
それより遙かに多くの情報を記載しているのが鑑定書や報告書です。
当然のことながら、この書類を作成するには知識と経験が必要であり、その作成には責任が伴います。
学生身分ではこの責任を負うことはできませんので、実際に自分の名の下に執刀できるのは法医学者になってから、ということです。
②科研費を申請し本格的に研究ができるようになる
研究をするためにはお金が必要です。
その「研究するためのお金」の大きなひとつが"科研費"です。
科研費に研究テーマを申請し採択されれば国からお金を頂けます。
この申請にIDが必要となるのですが、原則として大学院生はこのIDを取得することはできません。
大学をなどの研究室に所属することで取得可能となります。
従って、法医学教室の教員となって初めて研究のスタートラインに立てると言えるでしょう。(研究資金は"科研費"だけではありませんが)
ただ当然ですが、科研費に採択されなければお金は頂けません。
ですので、教員となったからといって自動的に研究資金が降ってくるわけではないのは注意ですね。
③学生指導を行える
これは大学や教室にもよるとは思いますが、基本的には大学院生の頃に医学部の教壇に立つことは滅多にないと思います。
医学生の実習のお手伝いなどをすることはあるでしょうけどね。
さすがに講義や授業というのは、やはり教員になってからところが多いのではないでしょうか。(それも"講師"以上?)
医学生からしても、きっと経験豊富な先生に教えてほしいでしょうしね。
ということで、今回は【解剖・研究・教育】の観点から、法医学者になった後にすべき(というか"していくことになる")ことについて書いてきました。
そもそも法医学者は解剖に加え、大学教員として"研究"や"教育"をするのために給与が支払われているわけですからね。
当たり前と言えば当たり前かも知れません。
冒頭にも書きましたが、法医学者になった後は『ひたすら日々の業務をこなして経験値を積んでいく』のが実際のところです。
そうやって立派な法医学者になっていくんだと思っています。
...書くは易く行うは難し、です。