第100回医師国家試験 G問題 問6 [100G6]

100G6
正しい組合せはどれか.

a 守秘義務 - 医療法
b 診療録の保存 - 医師法
c 死亡診断書の交付 - 死体解剖保存法
d 療養方法の指導 - 健康増進法
e 処方せんの交付 - 薬剤師法




正答は【b】です。


[a] 誤り。医師の守秘義務(秘密漏示)は"刑法"に規定されています。刑法 第134条「医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

[b] 正しい。診療録の保存は"医師法"に規定されています。医師法 第24条第2項「前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。

[c] 誤り。死亡診断書の交付は"医師法"に規定されています。医師法 第19条第2項「診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。

[d] 誤り。療養方法の指導は"医師法"に規定されています。医師法 第23条「医師は、診療をしたときは、本人又はその保護者に対し、療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければならない。

[e] 誤り。処方せんの交付は"医師法"に規定されています。医師法 第22条「医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当つている者に対して処方せんを交付しなければならない。ただし、患者又は現にその看護に当つている者が処方せんの交付を必要としない旨を申し出た場合及び次の各号の一に該当する場合においては、この限りでない。



医事法関連の問題ですね。

今回は少し虚を衝かれた問題かも知れません。


今まで「医師法は医師に関する法律である(→主語は"医師は〜")」と言っていたのですが、ここで例外が出てきました。

それが"診療録(カルテ)の保管義務"に関する規定です。


条文は前述の通りですが、

医師法第24条 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
第2項 前項の診療録であって、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。

こう書かれています。

つまり、5年間保管する義務があるのは"病院又は診療所の管理者"(≒院長)なのです。

なので「病院(の院長)が主語っぽいから、これは医療法か!?」と思いたいところですが、、、カルテ保管義務は"医師法"に定められているということです。


国試的には保存期間である"5年"という方が問われやすい印象もあります。

ただ、それが規定されているのは"医師法"であるということもしっかり覚えておく必要があります。

結局、暗記してしまえばそれで終わりの話ですけどね。


ちなみに、医師になったら医師法第23条もきちんと思い出して診療してくださいね。



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