第100回医師国家試験 E問題 問7 [100E7]

100E7
死亡診断書で正しいのはどれか.

a 歯科医師は発行できない.
b 交付は医療法で定められている.
c 自殺は不慮の外因死に分類される.
d 自ら診察した患者についてのみ交付できる.
e 医師本人が署名した場合でも押印が不可欠である.




正答は【d】です。


[a] 誤り。歯科医師は死亡診断書の発行が可能です。ただし死体検案書は発行できません。

[b] 誤り。(医師の)死亡診断書の交付は"医師法"によって定められています。医師法 第19条第2項「診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。

[c] 誤り。自殺は"不慮の外因死"ではなく"その他及び不詳の外因死"に該当します。

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[d] 正しい。死亡診断書が発行できるケースは「自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡したと認める場合」とされており、そうではなく自分が診察していない場合には"死体検案書"交付することになります。また医師法 第20条「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない」という条文により、同項の但し書き規定を除いて、診察していない場合の死亡診断書の交付は禁止されています。

[e] 誤り。当時のルールでは「本人の署名があれば押印は不要」となっていました。現在では、押印は不要で署名が原則に変更となっています。



死亡診断書に関する問題です。(類似問題:89A6, 98E7)

レベル的には至って基礎的な内容ですね。


自殺における"死因の種類"を聞いている[c]がやや難しい印象を受けますが、

この選択肢に関しては類似問題で散々擦られてきている選択肢です。

ですので、きちんと過去問演習をしている受験生にとっては正答は容易かったことでしょう。


しかし、同様に、[e]にある「署名時には押印が不要」というルールに関しての選択肢もよく見掛けますが、この規定は何度も出題されるほど重要なのでしょうか。

実際のところ、署名の上に押印までしたとしても、別に駄目ではなかった(普通に役所で受理される)ので、そこまで重要な規定でなかったと思うのですが...。

当時の判子文化に鑑みれば「押印が要らないなんてすごい!」という感じだったのでしょうかね。

何にせよ、現在では原則署名のみ(記名+押印は不可)という規定に変わったので、今後このような選択肢は出てこないでしょう。

むしろ「記名+押印は認められない」という方で出題されるかも知れませんね。



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