第98回医師国家試験 G問題 問68 [98G68]

98G68
異状死体の届け出が必要ないのはどれか.

a 生後2ヵ月の乳児が保育所で突然死した.
b 医師に処方された抗菌薬を帰宅後に服用したらショック死した.
c 来院時心肺停止〈CPAOA〉の患者が蘇生することなく死亡した.
d 精神科に入院中の患者が作業療法中に突然死した.
e 心筋梗塞で救急搬入された初診患者が1時間後に心筋梗塞で死亡した.




正答は【e】です。


[a] 正しい(=届け出が必要である)。問題文からは突然死の原因がはっきりしませんので、異状死体の届出をした方がよいと思われます。

[b] 正しい(=届け出が必要である)。投薬に関連した医療関連死であり、診断済みの病気による直接の死亡ではありません。従って、異状死体として届け出る必要があると思われます。

[c] 正しい(=届け出が必要である)。CPAOAの原因も不明で、確実に診断された内因性疾患で死亡しているとは確定できないので、異状死体として届け出ます。

[d] 正しい(=届け出が必要である)。"精神科疾患"と"作業療法中の突然死"との間の因果関係が不明です。死因が確実に診断された内因性疾患と判断できないため、異状死体の届出をする必要があると思われます。

[e] 誤り(=届け出が必要ない)。全選択肢の中で唯一"確実に診断された内因性疾患で死亡したことが明らかである死体"と言えます。従って、問題文の情報の範囲では、異状死体の届出は不要です。



王道である"異状死体届出"の問題ですね。(類似問題:85A98, 89A8, 92A11, 93A43, 94D1, 95A68)

異状死体の届け出が必要ないケース →『確実に診断された内因性疾患で死亡したことが明らかである死体』


以上より、下の3つがポイントになります。

① 原死因が内因性疾患である (≒病死である)
② 当該内因性疾患が既に診断済みである
③ 以上2つが確実である

これら全てを満たす場合に、(少なくとも国試では)「異状死体の届出が不要である」と言えます。

国試的には、大体①の条件が×であることが多いですね。

ですので、まず「病死かどうか?」で篩にかけて、残った問題を精査するとよいと思います。



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