第104回医師国家試験 G問題 問14 [104G14]

104G14*
室温15℃前後の室内において死後約12時間経過した死体にみられるのはどれか.

a 瞳孔が透視できない.
b 腹壁の緑変が始まる.
c 関節の硬直が高度である.
d 体温が15℃に下がっている.
e 体位を変えると死斑が容易に転移する.




正答は【c】です。


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[a] 誤り。死後12時間では、瞳孔の混濁は始まっているものの、まだ瞳孔の透視は可能です。

[a] 誤り。腹壁の緑変開始は環境温によってかなり違ってきます。室温15℃の比較的涼しい環境ですので、早くても大体1日程度は経ってから出てきそうです。さすがに死後12時間ではまだ出現していないと思われます。

[c] 正しい。死後硬直は大体死後半日〜1日の間で最高潮となり、その後硬直は解けていくとされます。従って「死後12時間で硬直が高度である」というのは合っていそうです。

[a] 誤り。死後1時間毎に0.8℃体温が低下すると考えると、12時間ではおよそ10℃ほど低下していると考えられます。死亡直後の体温が37℃とすると、そこから12時間経った場合、ご遺体の体温はおよそ25℃程度であると考えられます。

[a] 誤り。死斑に移動性があるのは、大体死後〜10時間程度までで、半日経ってしまうと死斑は固定されてしまい、体位を変えても死斑は動きにくいです。そのため"容易に"転移はなかなかしないと思われます。



"死体現象"に関する問題ですね。

短い文章ですが、いろんな法医学知識が詰まっていますね。


死後数日以内のご遺体というのは、"早期死体現象"がめまぐるしく変化していきます。

そのため、問題として割と難しくなっています。


死体現象としては、今回の選択肢のように、

・角膜混濁
・死後硬直
・体温低下
・死斑移動性

が早期死体現象として問われ得ます。

・腹部緑変(≒腐敗)

"腐敗"はどちらかと言うと"晩期死体現象"になってくるので、やや趣が違います。
("腐敗"ではなく"緑変"と言われると、本問のように早期の中で扱えるか?)



選択肢[d]は「体温が15℃低下していた」なら若干迷いそうですが、さすがに死後12時間で体温自体が15℃まで低下しているとは考えがたいです。

ちなみに、このブログでは「死後1時間あたり0.8℃体温が低下する」と書いていますが、

・死後10時間までは1時間あたり1.0℃ずつ体温低下していく
・死後10時間以降は1時間あたり0.5℃ずつ体温低下していく (→そして環境温でプラトーに達す)

と書いてある教科書的も実際に多いです。

ただ少なくとも国試では、どちらの考え方でも解けると思いますので、お好きな方を覚えてください。



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