103H26
67歳の男性.1時間前からの胸痛を主訴に来院した.意識は清明.呼吸数24/分.脈拍112/分,整.血圧104/68mmHg.心電図胸部誘導ではV2からV6にST上昇,心エコー検査では前壁の壁運動低下,血液検査ではトロポニンTの高値を認めた.診療開始45分後に心室細動となり,二次救命処置を施行したが心拍は再開せず,家族の前で死亡を確認した.
次に行うのはどれか.
a 死亡診断書の作成
b 死体検案書の作成
c 警察署への届出
d 裁判所への届出
e 保健所への届出
正答は【a】です。
[a] 正しい。問題文から死因は「左室前壁の心筋梗塞による心室細動」と判断できます。搬送後、存命中に当該心疾患に対する診療を行っていますので「自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡したと認める場合」として、死亡診断書の作成を行うのが適切です。
[b] 誤り。[a]の解説の通り、本事例は「自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡したと認める場合」と言えるため、"死体検案書"ではなく"死亡診断書"の作成が適切と思われます。
[c] 誤り。異状死体は「確実に診断された内因性疾患で死亡したことが明らかである死体以外の全ての死体」と考えられますが、本事例は心疾患という"内因性疾患"で亡くなった病死と考えられます。問題文には他に「異状あり」もしくはそれを疑うべき情報や検案所見は記載されていないことから、あえて警察署に届け出る必要はないと思われます。
[d] 誤り。ご遺体に関して、医師が裁判所に届け出なければならない規定はありません。(私が知る限り)
[e] 誤り。一部の感染症による死亡を診断した場合、保健所に届け出なければいけませんが、本事例で感染症の関与はなさそうですので、届け出る必要はないと考えられます。
救急搬送後の死亡事例における一般的な対応を問うた問題ですね。
問題文を読むと、搬送後の診療の中で「左室前壁心筋梗塞による心室細動」を診断していることがほぼ明らかです。
従って、ここは素直に「自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡したと認める場合」→ "死亡診断書の作成"で問題ないでしょう。
特に突っ込みどころもないかと思います。
、、、"裁判所への届け出"というのは、初の選択肢ですかね。笑