第114回医師国家試験 F問題 問2 [114F2]

114F2
医療機関に通院中の患者が自宅で突然死した場合について,正しいのはどれか.

a 死体検案は警察が行う.
b 司法解剖には遺族の承諾は必要ない.
c 監察医が行う解剖には遺族の承諾が必須である.
d 最終診察から24時間以内であれば死体検案は必要ない.
e 死体検案で異状が認められる場合の届出義務は医療法で規定されている.




正答は【b】です。


[a] 誤り。(死体)検案は"医師"が行います。事件性の有無を判断するために警察が行うのは"検視"です。

[b] 正しい。司法解剖には遺族の承諾は不要です。"病理解剖"や"承諾解剖"などでは原則として遺族の承諾が必要です。

[c] 誤り。監察医解剖/行政解剖には遺族の承諾は不要です。

[d] 誤り。本事例は"自宅突然死"ということで、死体検案は必須と考えられます。医師法第20条の但し書き規定によって「診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書」に関してのみ"死後診察"の必要はありません。医師法 第20条「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。

[e] 誤り。異状死体の届出は"医師法"に規定されています。医師法 第21条「医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。



"自宅突然死"事例に関する問題です。

各選択肢はどれも単純なものなので、問題はそこまで難しくありませんね。


"検案・検視"は、よくメディアでも勘違いされますが、

【検案(検死)】:医師が死因究明等のために行う。
【検視】:警察が事件性の有無の判断のために行う。

主体や目的が全く違うので、ここはきちんと区別する必要があります。

×「医師が事件性を判断する」
×「警察が死因を判断する」

といった誤った認識もしばしばみられます。

勘違いしないよう注意が必要ですね。



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