文系の法医学

今回の記事内容は"法医学に関わる文系職"です。


世間には法医学に興味があり「将来法医学に関連した職業に就きたい!」と思っている人もいます。

ですが「自分は文系だから...」「文系に進もうと思っているんだけ...」と不安に思っている学生さんなども多いと聞きます。

今回はそういった方のために、法医学にまつわる文系について書いてみました。


ただ実際は法医学分野において"文系職"はほぼなく、そのほとんどが理系出身ばかりなのが現実です。

しかし、限られているとは言え、文系卒の職員もありますので、それについては書いていきます。



始めにその職業を列挙しますと、以下の4つです。

・警察官
・科警研/科捜研職員 (心理学系/文書鑑定系)
・法医学教室職員(医事法系)
・法医学教室事務員

これらについてひとつずつ触れていきたいと思います。



○警察官

これは言わずもがなでしょう。

キャリアを考えるなら文系でしょうし、検察官は司法試験なので当然文系になってきます。

ただ我々法医学者と直接接する刑事課や交通課の警察官になるには文系・理系はそこまで関係ないです。

実際に解剖の立ち会いもしますし、4つの中では最も解剖にも近い存在です。

また割合で言っても、最も多い職業かも知れません。


○心理学系や文書鑑定系の科警研/科捜研職員

こちらもどちらかと言えば警察関連の職業です。

心理学系はポリグラフ(嘘発見器)に関連した業務で、文字通り文系である心理学が専門になってきます。

文書鑑定は、筆跡鑑定や偽札・偽装通貨の鑑定などの業務を行います。

ただどうやら心理学と文書鑑定は併設されていることが多く、結局は採用の際に心理学を修了していることが条件だったりするようです。

実際に私たちと直接会う機会はほとんどなく、解剖(≒法医学)という意味では他と比べるとあまり近い存在ではありません。


○医事法系の法医学教室職員

こちらは法医学教室のスタッフです。

"医事法系の"というのは、つまり『医療に関係する法律を専門にされている方』を指しています。

法医学教室では、医学の中では法律に近い存在でもありますので、一部の大学には法律の立場から法医学教室に在籍に医事法系等を専門に研究されている方もいらっしゃいます。

そういう方は弁護士資格を持っていたりして、法学部→文系出身ということになります。

ただしごく一部の法医学教室に限ります。

私の在籍する教室にはいらっしゃいません。

もちろん直接解剖に携わることもありません。


○法医学教室事務員

こちらはもしかすると、私たちが最もお世話になっている文系職といっても過言ではありません。

教室の事務・秘書さんですね。

私の在籍する教室の事務員さんも文系出身です。

我々の法医学業務のマネージメントを日々的確にこなしていただいています。

職歴が長くなってくると、むしろそこいらの警察官よりも法医学に詳しかったりします。笑



私が思い付くのは以上の4つくらいでしょうか。


やはり法医学は『科学的・医学的に判断していく学問』ですので、理系知識無くしてその実務に携わることは基本的にできません。

もちろんそういった直接的な法医実務(≒解剖等)ではなく、以前書いた"法看護師"のような遺族ケアなどはむしろ文系知識が活かされる分野とも言えるのかも知れません。

その他学習という意味では、大学院の方針にも依りますが、法医学における大学院の修士課程・博士課程は、理系のみならず文系にも門戸を開いているところがあるようです。

なので、文系だからといって決して法医学の門が閉ざされているわけではないですし、文系を学んでから理系を学び直して法医学に進むという道は全く無きにしも非ずです。

要は自分の行動力次第だと思います。


ただやはりやりたいことがはっきりしているなら「理系に進む」ことを個人的には強くおすすめします。

その後の選択肢の幅も広がりますから。


今回は"法医学における文系職"を取り上げました。

また思いつけば追記していきたいと思います。