もしかしたら皆さんも実際に見たことがあるかも知れない"死亡診断書・死体検案書"。
これ↓ですよね。
実はこの様式になったのは平成7年1月からでした。
それまでは↓の画像のような旧様式の死亡診断書・死体検案書を使っていたんですよ。
意外とあっさりしていますよね。
具体的には新様式(現行)への変更に伴い、ICD-10に従って
・死因欄を3つ→4つへ増加
・疾患の終末期としての心不全の記載は原則禁止
・妊娠や分娩の状況を記載する欄の追加
と充実化されました。
そして、時は過ぎ、昨今の社会情勢に合わせて新たな形式が模索されています。
今回はこの【新形式(案)の死亡診断書・死体検案書】について考えていきたいと思います。
※以下の様式案は、あくまで医師会の研究班において検討されたというものです。これに今後変更する・変更が決まっているというものでは決してありませんのでご注意ください。
日本医師会の研究事業で検討されている更に新しい様式の死亡診断書・死体検案書の一例が下記の通りです。
一番下が最も新しい様式案です。
見て分かるように
・Ai(オートプシーイメージング)
・産科的原因
・捜査機関による検視
・CDR(チャイルドデスレビュー)所見
がといった点が目新しいですね。
確かに近年は死後検査に画像検査が行われることも増えました。
それに加え、産科的原因や最近話題のCDRといった母子両者に関係する"周産期の死亡状況"をさらに詳しく記載させたいという狙いが伺えます。
ただし多くの医師にとっては馴染みない項目になりそうでもあります。
なので、この様式案なら現行のものとあまり変わらないという臨床医の先生も多いかも知れませんね。
果たして今後どうなっていくのでしょうか?
他にもこの研究事業の中では『診断書や検案書の電子化』なども取り上げられています。
個人的には、直筆に比べると電子では修正が楽になるので、是非とも強く押し進めていただきたいですね。
また議論は『死亡診断書・死体検案書の区別の要否』にも及んでいます。
個人的には現行のような「斜線で一方を選ぶ(消す)」というのは要らない気もするんですよね。
だって、両者を区別しても何ら統計上には出てこないですし全くの無駄ですから。
むしろ「病院では死体検案書は書けない」と医師(時には警察まで)が勘違いしてしまう元になってしまうので「やめるべきだ」とすら正直思っています...。
結局、
主治医が記載したのか?
検案医が記載したのか?
が区別できればいいと思うので、あえて今のようにややこしくする必要はないと私は思っています。
逆に分けるならキチッと分ける意味を見出してほしいです。。(面倒だし)
話は戻りますが、こういう類いのある意味"データベース"は『せっかく統計でまとめるならできる限り多くの項目を記載したい...!』となってしまいがちです。
しかし、これは全ての医師が関わることであり、現場で実際に記載する医師の負担が増えてしまってはいけません。
従って、記載項目は"有効的"かつ"最低限(ないし無理のない範囲)"である必要が絶対です。
おそらく実際の新様式に関しては、最終的に厚生労働省の方で決めていくことになるのでしょう。
死体検案書は、我々法医学者にとっても日常的に扱う商売道具?です。
もし今後改訂するのであれば、是非素晴らしい様式に変えてほしいものですね。