たまには私の思い出話でも。
法医学というのは、医師の中でも圧倒的にイレギュラーなコースです。
いくら志を強く抱いていても、実際に進むに当たって悩みや不安は尽きないはずです。
何を隠そう、私もそのうちの一人でした。
そんな不安を取り除いてくれた"決め手"。
今回はこれについて自分自身を振り返り書いていきたいと思います。
迷える子羊の何か助けになれば...。
私にとってのこの"決め手"は...【法医学教室の先生方】でした。
捻りも何もないのですが、医学生の頃にお世話になった『先生方の人柄』に背中を押されたんですよね。
私自身は大学生の頃、普通の医学生でした。
部活もしてバイトもして遊びもして...勉強も人並みにして成績は本当に"中の中"でしたね笑。
そんな私は当時、法医学の講義に対してもそこまで特別な感情は抱いていませんでした。
講義の中で出てくる写真に、
「へーこんな世界も本当にあるんだなぁ」と思うくらいでしたね。
しかし、そんな私が法医学にすごく興味を持つきっかけとなったのが"法医学実習"でした。(参考記事:「法医学実習とは」)
私の大学では、法医学実習で2つのテーマを行っていました。
「死体検案書の書き方」
「血液型判定」
特に後者の『自分の血液型を調べる』という実験がすごく興味深かったのを覚えています。
失礼ながら、今思えばどちらもそこまで手の込んだ内容ではないですが、何かが私の心に刺さったんですよねぇ。
自分自身をサンプルとした実験というのが良かったのかな?
ただ実習自体は数日で終わりです。
何故か心に刺さった私は、法医学教室の門を叩きました。
とは言っても、その時点で入門を心に決めたわけではなく、
「実験が楽しかったから、もっと何か法医学に関する実験させてほしい」
というのが狙いでした。
急にそんな無理難題を言う変な学生を、うちの法医学教室の先生方は温かく受け入れてくれたんですよ。
これは私にとっても大きな奇跡でしたね。
そこからいろんなことを経験させてもらいました。
その中で当然法医学にも興味が出てくることになります。
そうして、実際に将来の道として考えていることを打ち明けた際も、私のことなのですが皆さんすごく喜んでくれて...。
将来とか関係なく、"法医学"というものにプラスイメージが付いたのは紛れもなくこの【法医学教室の先生方】のおかげでした。
この"出会い"こそが本当の意味で、私が法医学に決心した"決め手"です。
そんな先生方も退官されたり移動されたりして、私自身も今は教室を離れていますが、この繋がりは今でも続いています。
確かに、法医学は大学の異動も多いですし、狭い業界なので、一歩選択を間違うと法医学人生もガラッと変わりかねません。
そういう意味で、"人"を決め手にするのはリスクがあるという意見もあると思います。
これは臨床医学における診療科選択でも同じことが言われていますよね。
もちろん「法医学に対する熱意」はすごく大切だと思います。
ですが、『それよりも「法医学の居心地の良さ」を優先した私がここまで来れた』ということからも、決してそんな選択も悪くはないのかな?と思ったりします。
私自身この経験もあるので、自分で言うのなんですが、今でも法医学実習は全力で力を注いでいます。
残念ながらまだその効果は出ていないのですが笑。
それでも医学生の皆さんが実習を楽しんで学んでくれるだけで毎年嬉しい限りです。
いつか私みたいな学生が法医学教室の門を叩いてくれることを願ってまた今年もがんばりますよ!