今回は「医学部在学中に法医学と接する機会」について書いていきます。
ただしこれはあくまで一例であって、大学ごとにカリキュラム・システムは大きく違います。
従って、皆さんが在学している大学の法医学も同じかどうかの保証はありません。
その点はあしからずご了承ください。
さて、無事医学部に入学できたとして、実際にどのような機会で法医学に触れるのか?
以前にもチラッと触れたことはありますが、(参考記事:法医学を学ぶには)
・法医学講義+実習
・配属実習
実際のところ、おそらくメインでまず触れるのはこの2パターンだと思います。
詳しくみていきましょう。
【法医学講義・実習】
これは、最もイメージしやすいと思います。
法医学の講義は必ずどの大学でも開催されています。
おそらく『基礎医学の勉強が終わった後・臨床医学を学ぶ前』の学年で開催されているのではないでしょうか。
医師国家試験にも当然出題されますし、この機会がないという大学はないはずです。
法医学実習では、「死亡診断書(死体検案書)の記載」について実習形式に学んだり、「法医学に関する実験」を行ったりする大学が多いと思います。
人によっては、医師になっても『きちんと"死亡診断書・死体検案書の書き方"を学んだのはこの法医学実習の時だけ』なんて場合も多々あるようですし、臨床医になるつもりでも、この機会にちゃんと勉強した方が良いですよ。
ちなみに、うちの大学では割と学生さんたちに好評のようです。(自画自賛ですが...笑)
【配属実習】(選択制)
これもおそらくは多くの大学で似たような制度があると思うのですが、どうでしょうか...。
『学生自身が自由に配属先を選択して実習を行う』というものです。
基礎医学から社会医学、臨床医学まで、各教室の中から自分たちが希望する配属先でその分野を研究・勉強するわけですね。
ですので、法医学を選択した学生さんのみが法医学をさらに学ぶことになります。
教室員からみると、全学生に対して行う"法医学講義・講義"に比べると、やはりモチベーションの高い学生さんが多い印象は受けますね。
我々もより一層指導に熱が入っちゃいますね。笑
振り返ってみても、意外?と接点というのはこれくらいしかないんですよねぇ。。
ただこれは決して「法医学だから少ない」というわけではありません。
他の基礎医学系や社会医学系の教室でも同じような状況だと思います。
(医学と直接関係のない)教養系なんて、1年目の一定期間だけ学んだら、後の学生生活では全く接点がなくなりますからね。
一方で、その点、臨床系講座はやはり"臨床実習"がありますので、学生さんとかなり接点は多いのはうらやましいです...。
昨今の国家試験偏重・臨床医学重視な流れもありますし、この傾向は今後も続くのでしょうし。
少し特殊な例として、近年は一部の大学では【基礎研究医養成活性化プログラム】という事業が行われています。
[文部科学省HP_H29年度より]
[文部科学省HP_R3年度より]
最近は、こうやって基礎研究医(特に法医学者)の養成に各大学が連携して当たっています。
もしご自身の大学がこの事業に選定されており、そのプログラムに参加すればかなり大きな接点となることでしょう。
ただ安易に「法医学に興味があるからプログラムに参加する」というのは避けるべきだと思います。
始まったばかりの事業ですし、よく相談の上、各プログラム内容を重々理解した上で応募されることを個人的にはおすすめします。
以上、私が思いつく『在学中の法医学との接点』でした。
他にも「大学独自の制度」があったり、「個人的に教室に出入り」するというパターンも無きにしも非ずです。
しかし、これらはもうケースバイケースになってきますので、今回は取り上げませんでした。
思った以上に接点の少ない法医学ですが、医学生の皆さんにとって少しでも身近に感じられるよう、今後とも努力していきたいと思います。