『法医学者は少ない』
という話はよく聞きますよね。
私自身も常々「興味がある方は是非一度法医学教室へ!」なんてことを言っています。
では『実際に法医学を目指す医学生は少ないのか?』
今回はこのテーマについてリアルな数字と一緒にみていきたいと思います。
医学生に対するアンケート結果(※複数選択可)によると...
【アンケート時点で将来のキャリアとして「社会医学」と答えた医学生は全体の"10.0%"】でした。
お世辞にも「人気がある」とは言えない数字ですね...。
詳しくみていきましょう。
今回引用したデータは、2020年に全国医学部長病院長会議によって行われた"医学部・医学科 学生アンケート調査"です。(参考リンク:全国医学部長病院長会議)
全国の医学生に対して、学年毎にいろいろな項目をアンケート調査しています。
今回取り上げたデータはその中の一部項目になります。
法医学はおそらくグラフ中の"社会医学"に含まれるのだと思います。
ただし、社会医学の中には、法医学以外にも"衛生学"や"公衆衛生学"などがあります。
従って、実際に法医学をキャリアとして考えている医学生はこの数字よりも少ないはずです。
そして、このアンケートが[複数選択可]であることも注意が必要です。
全部の割合を足してみれば分かりますが、全体で130%くらいになります。
なので、"社会医学"という点と"複数選択可"という点は十分注意して考察していかなければなりません。
学年毎にみますと、第1学年では最も"社会医学"の割合が少ないですね。
これは医学生生活が始まったばかりで最初は教養を学ぶことも多いため、「社会医学そのものに馴染みがないから」だと思います。(逆に第1学年で学ぶであろう"基礎医学"は最も高い)
そして、実際に社会医学を学ぶ学年である第2ないし3学年以降に"社会医学"の割合が上がってくると。
第5,6学年では講義や臨床実習など、学ぶ科目の殆どが臨床医学になることから、どうしても最終的な"社会医学"の割合は減ってしまうんだと思います。
皆さんはこの数字をどう捉えますか?
確かに実際に数字としては決して大きくはないと思います。
でも、個人的には10%ですが結構健闘していると思うんですよね。(実際の"法医学"はもっと少ないんでしょうが)
数%とか、もっともっと少ないものだと思っていましたよ。
これを踏まえて、自分の同級生の卒後の進路で思い返してみます。
実際のところ、同級生が100人いて臨床研修に進まなかったのは...0人です。
つまり全員臨床研修に進みました。(※国家試験不合格者は除く)
研修医終了後の進路で言っても、全員の進路を知らないので正確なことは言えませんが、少なくとも私が知っている範囲で非臨床(≒基礎医学や社会医学)に鞍替えしたのは私1人だけです。
それくらい現実はやはり少ないんですよね。
先のアンケートの結果からいうと、複数選択可であっても10%ですから、同級生野中で数人くらい社会医学に進む人間が出てきてよい気がしますけどね。
実際はそうではないということです。
大方予想はつきますが、臨床を学んだり臨床医学に携わる中でそちらに惹かれていくのでしょう。
自分が本当に希望する進路に進めるのはとても喜ばしいことだと私も思いますし、それはそれで仕方のないことですが、、、
法医学も臨床医のように実際に働いてみたら「あれ、、、もしかしたら自分に合ってるかも!」と思えたりするんじゃないかと思うんですけどね。
法医学との繋がりがなければ、出る芽も出ないですから。
だからこそ、私も今回も書きます。
「興味がある方は是非一度法医学教室へ!」