法医学者の仕事納め

今年も残すところあと少しですね。

当然法医学者にも年末年始はあります。

ただ我々にとって休日は必ずしも絶対的なものではありません。

ご遺体には年末年始は関係ありませんからね。

警察が法医学者を必要とあらば、年末年始休日問わず解剖を行います。

早くご遺体を遺族の元に帰してあげたいですし!

ちなみに、私のいる地域はおそらく皆さんが思っている以上に結構あります。



さて、そんな不確実な年末を目の前にして、私自身が毎年仕事納めにやっていることがあります。

それは『自分が1年間で扱った解剖症例の回顧』です。


もちろん症例の情報は解剖毎に都度まとめています。

ただ中には、追加で行った検査結果が出ていたりするものもありますし、後で振り返ると「あれってもしかすると...」と思うこともありますからね。

そうやって1年間に経験したご遺体を1件1件見返していくのです。


そして『1年間の解剖全体を通して何か思うことはないか?』とイメージします。

「今年の解剖件数は〇件だったか」に始まり、
「そういえば●●なご遺体もあったな」とか
「今年は○○の死因が多かったな」とか

そんなことを私はしみじみと思い返していますね。



時に学術的に報告すべきだと思う症例があれば、個人的な症例報告リストに入れることもあります。

これは翌年以降の学会や論文のテーマにするためです。

まだ経験はありませんが、症例報告に留まらない大きなテーマを見つけたら、次年度以降の研究テーマにしたいなと思ったりもしています。

解剖だけに終わらず、法医学者としてできる形で、法医学が世の中の役に立つよう考えるのです!



ということで、『自分が1年間に扱った解剖を振り返る』を私は毎年行っています。

これは自分が法医学を辞めるまでずっとやり続けることでしょう。

そしてそれを終え、1年間お世話になった人達に心から感謝し仕事を納めるのです。