2022年1月14日発売 [5500円+税] 南山堂 (出版社URL)
『法医学 改訂4版』全379頁 (監修:福島弘文. 編集:舟山眞人, 齋藤一之)
[真実を見る!いのちを考える!]
社会情勢のさまざまな変化により,死亡の原因究明に法医学が期待される場面が増えています.2020年から世界的に多数の死者が出ているCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の法医病理学的な記述も含めた最新の情報と,医学生が学ぶうえで必要とされる法医学の歴史と今後の課題について,グラフや写真を使い,コンパクトにまとめて解説しています.また,巻末には関連法規をまとめて収載しており.学生だけでなく検死と関わる方の参考書としても活用できる一冊です.(※出版社サイトより)
前版から7年ぶりに改訂された日本語の法医学テキストです。
テキストの種類自体が少なく改訂頻度も低い法医学分野では貴重な新改訂本ですね。
こちらはいわゆる"成書"というよりもまさに"テキスト"というような、主に学生向け(ないし非専門家向け)の基礎的な本と言えます。
序文にも書かれているように、「児童虐待」や「死亡時画像診断」「医療事故・医事紛争」といった近年より重要性が増してきている分野についても記載がされている点はやはり最新の本のメリットと言えるでしょう。
学生向けテキストには他にも似たような本がいくつかあります。(参考記事:「法医学の教科書」)
法医学において一般的な項目については、どの本もある程度共通して大体似たようなことが最低限書かれています。
そういう意味では、どの本を買っても大きな間違いはないわけですが、
いろんなテキストを見比べていると、やはりその中でも各書微妙に違う点・特徴的な点があったりするんですよ。
この本の特徴は『"法科学分野"に関する記載が比較的多い点』だと個人的に思っています。
・第7章 犯罪と心理
・第8章 遺伝形質と親子鑑定
・第9章 物体検査と個人識別
具体的にこういった分野ですね。
特に第7章の"犯罪心理学"や"プロファイリング"という分野は、他のテキストには載っていないある意味ニッチな項目で興味深いです。
近年のテキストではDNA型に押され文量が減ってきている"血液型"についても最新の知見が紹介されています。
その他、死亡診断書(死体検案書)の書き方についても実際に例を挙げつつ豊富な記載がなされています。
全体として前版よりもページ総数は増え、記載が減ったと言える箇所はほぼありません!
個人的に大変興味深かったのはやはり新しく増えた『児童虐待』の項目でした。
※"横浜市こども虐待防止ハンドブック"より
画像も比較的多く掲載されており、日本語の専門書がまだまだ少ない現在においては貴重な資料となるでしょう。
ということで、全体としてもまとまっており、法医学における最新の情報もしっかり載っていましたよ。
それだけで買う価値は全然あると思います。
今から「法医学を学ぼう!」と思っている方にも十分おすすめできる本となっています。
テキストや教科書は絶対に新しいものを買うのに限ります。
興味のある方は是非一度お手に取って実際に確認してみてください!