第92回医師国家試験 D問題 問2 [92D2]

92D2
重症妊娠高血圧症候群のため入院治療中の妊婦.妊娠23週に子宮内胎児死亡が生じ,3日後に分娩に至った.
発行すべき文書はどれか.

a 出生証明書
b 死産証書
c 死胎検案書
d 死亡診断書
e 死体検案書




正答は【b】です。


[a] 誤り。本事例の児は子宮内で死亡してしまっているため「出生した」とは判断されません。従って、出生証明書は発行されません。

[b] 正しい。やや問題文があやふやですが、妊娠12週以降の死産に立ち会った医師であるなら"死産証書"を発行するのが正しいです。

[c] 誤り。[b]の通り、死産に医師が立ち会っていた場合は、その医師による"死産証書"の発行が正しいです。もし死産に立ち会っていない医師が、死胎を検案した後に発行するのであれば、"死胎検案書"を発行することになります。

[d] 誤り。[a]の通り、本事例では「出生した」と判断されないため、"死産証書"か"死胎検案書"のいずれかが発行されることになります。

[e] 誤り。[d]の通りです。出生した後に死亡した場合において、"死亡診断書"か"死体検案書"のいずれかが発行されます。



珍しい死産証書・死胎検案書に関する問題です。

死亡診断書・死体検案書との関係に似ていますが、似ていないところもあります。


死産証書・死胎検案書の発行は「妊娠満12週以後の死産」が該当します。

ただし以下の状況では、妊娠満12週以後であっても死産証書・死胎検案書の作成は不要とされます。

・子宮内容物が胎児の形を成していない等の場合
・妊婦が死亡し、胎児の死亡も確実な場合


そして、死産証書・死胎検案書の使い分けは"出産立ち会いの有無"です。

死産証書:(死児の)出産に立ち会った医師が発行する。
死胎検案書:出産に立ち会っていない医師が、検案の上、発行する。

このため、死産証書は主に出産に立ち会う産婦人科医が発行するものになりますね。

法医学医が発行するのは専ら死胎検案書です。



死産証書・死胎検案書は、文字通り死産(=妊娠満12週以後の死児の出産)の際に発行されるものです。

そのため、問題解説にあるように、この世に生きて出産された(=出生した)後の新生児の死亡については、出生証明書が発行された後に、死亡診断書・死体検案書が発行されることになるのです。(→死産証書・死胎検案書ではない)


そして乳児の死亡の場合は、通常の項目に加え、下記の追加2項目があります。

・生まれた時刻 (←生後30日以内)
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・生後1年未満で病死した場合の追加事項 (←生後1年未満)
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このように、死産ではない乳児死亡の場合でも、追加事項が増えることで詳細な情報を集めることができるのですね。


前述のように、死産証書はもちろんのこと、死胎検案書を法医学医が書くことも然う然うありません。(殆どの死児は病院で看取られるでしょうから)

国試問題でも、"死産証書・死胎検案書"よりは"死亡診断書・死体検案書"の方がやはりメジャーのようです。



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