第91回医師国家試験 A問題 問9 [91A9]

91A9
医療法に規定されているのはどれか.

a 保健指導
b 異状死体の届出
c 診療科名の広告
d 処方せんの交付
e 診療録の記載




正答は【c】です。


[a] 誤り。"保健指導"は医師法の最初の条文に書かれています。医師法 第1条「医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」

[b] 誤り。"異状死体の届出"も医師法に書かれています。医師法 第21条「医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。」

[c] 正しい。"診療科名の広告"に関しては、医療法 第6条の5で細かく規制されています。「何人も、医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して、文書その他いかなる方法によるを問わず、広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示をする場合には、虚偽の広告をしてはならない。」

[d] 誤り。"処方せんの交付"は、医師法に書かれています。医師法 第22条「医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当つている者に対して処方せんを交付しなければならない。ただし、患者又は現にその看護に当つている者が処方せんの交付を必要としない旨を申し出た場合及び次の各号の一に該当する場合においては、この限りでない。」

[e] 誤り。"診療録の記載"は医師法です。医師法 第24条「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。」



「医療法vs.医師法」問題ですね。

ざっくりと書くと、

医師法 → 医師の業務や医師国家試験・臨床研修など、医師自身に関わる事項を規定する法律。主語は「医師は〜」が多い。
医療法 → 病院や診療所の開設や管理など、医療機関全般に関する事項を規定する法律。主語は「病院(診療所)は〜」が多い。

そういう目で見てみると[c]の"診療科の広告"は医療機関に関わる事項なので、やはり他の選択肢とは違った印象がありますよね。


あと医療法に関して国試で聞かれるのは「病院と診療所の違い」です。

病院:20人以上の患者を入院させるための施設を有するもの
診療所:患者を入院させるための施設を有しないもの(無床診療所) or 19人以下の患者を入院させるための施設を有するもの(有床診療所)


その他、近年は"医療事故調査"が制度導入されましたが、こちらも医療法の管轄になります。→「医療法 第6条の15〜27」

ここは押さえていてもよいと思いますね。



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