95A68
異状死体に該当しないのはどれか.
a 農薬中毒によると思われる死体
b 他傷後の続発症によると思われる死体
c 異型輸血によると思われる死体
d 処方された薬剤の誤嚥によると思われる死体
e 肺癌患者の喀血によると思われる死体
正答は【e】です。
[a] 誤り(=異状死体に該当する)。薬物中毒は外因死ですので、異状死体と考えられます。
[b] 誤り(=異状死体に該当する)。続発症であっても大元の原因は他傷(→外因性)であるため、異状死体と考えられます。
[c] 誤り(=異状死体に該当する)。異型輸血による死亡も外因死と考えられるので、異状死体です。この場合は医療関連死でもあります。
[d] 誤り(=異状死体に該当する)。誤嚥を来した理由にもよりますが、偶発的な事故であるなら異状死体と判断した方がよさそうです。
[e] 正しい(=異状死体に該当しない)。原死因(=死の原因となった大元の疾患)が肺癌であれば、「診断された内因性疾患で死亡した」として異状死体ではないと判断できます。
異状死体に関する問題です。(類似問題:85A98, 89A8, 92A11, 93A43, 94D1)
問題自体は素直ですね。
異状死体:確実に診断された内因性疾患で死亡したことが明らかである死体以外の全ての死体。
国試的にはもっとざっくり「診断済みの病死」と考えたらあっさりです。
ただしここで議論している死因は、[d]で書いたように、原死因のことを指します。
単に"死因"と書いてある際は、原死因なのか?直接死因なのか?それ以外の死因なのか?というのをきちんと考えなければいけません。
原死因とは、死亡診断書で言えば、原則として並んでいる死因の中の1番下にある死因です。
病死 → 原死因が内因性疾患
外因死→ 原死因が外因性疾患
例えば、選択肢[b]では、原死因は"他傷"で、直接死因(→1番上の死因)は"続発症"です。
仮に続発症が内因性疾患(eg.感染症や誤嚥性肺炎など)であっても、1番下が"他傷"という外因性疾患であるため、"外因死"として扱います。
文章の意味をしっかりと考えて判断しましょう。