「日本は死因不明社会だ!」と言われて久しく『日本の解剖率って低いんだ』というイメージはあっても、実際の日本の解剖率がどれくらいか知っていますか?
よくと言われる数字が、以下の2つです。
【全死亡者の"1.4%"】
【警察取扱死体の"11.8%"】
今回は日本の解剖率について書いていきたいと思います。
次回の記事"世界の解剖率"も合わせてぜひ読んでみてください。
まずこの"解剖率"という言葉をはっきりさせておきましょう。
今回2つの定義が出てきます。
①[法医解剖件数/全死亡者数]
②[法医解剖件数/警察取扱死体数]
以上の2つです。
これらは全く意味合いが違ってきますので、解剖率をみる時には注意してください。
近年の法医解剖件数が大体"2万件"で、これを軸にみていきます。(※病理解剖は含みません)
①はイメージしやすいですよね。
単純に『この日本で亡くなった人全員に対して果たしてどれだけ法医解剖が行われるのか?』です。
年間死亡者が約"130万人"です。
従って、①はだいたい"1.4%"です。(=2万人÷130万人)
ですので、『日本で亡くなる人のうち法医解剖となる割合は1.4%である。』ということが分かります。
続きまして②です。
"警察取扱死体"とは、文字通り『警察が取り扱った遺体』ということです。
以前書いたように、現行の日本の制度では、病院で看取られ病死としてそのまま警察に届けられなかったケース以外は原則として警察が介入します。
つまり『警察が取り扱った遺体』≒『病院で病死とされた遺体以外のもの』ということです。
よく警察取り扱い死体を"異状死体"や"変死体"と書かれたりすることもありますが、厳密には違います。
警察取扱死体が年間およそ"17万件"です。
『日本で亡くなる方のうち約13%(=17万人÷130万人)に警察の介入がある』ということです。
②は約"11.8%"になります。(=2万人÷17万人)
つまり『警察が取り扱う(介入する)ご遺体のうち法医解剖となるのは"11.8%"である。』
※法医解剖となるケースには警察が介入したもの以外に、正確には海上保安庁や自衛隊もあるのですが、大体年間で1000件ちょっとなので今回は含めていません。
以上より、日本の解剖率には
①【全死亡者の"1.4%"】
②【警察取扱死体の"11.8%"】
という数字が出てくるということですね。
※参考画像:令和3年解剖率 (厚生労働省資料より)
さて、少しだけ長くなりましたので、世界の解剖率については次の記事としたいと思います。