第112回医師国家試験 F問題 問24 [112F24]

112F24*
医師の義務と規定する法律との組合せで正しいのはどれか.

a 守秘義務 - 医師法
b 応召義務 - 民法
c 説明義務 - 医療法
d 処方箋の交付義務 - 健康保険法
e 異状死体の届出義務 - 刑法




正答は【c】です。


[a] 誤り。守秘義務(秘密漏示罪)は"刑法"に定められています。刑法 第134条第1項「医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

[b] 誤り。応召(招)義務は"医師法"に定められています。医師法 第19条第1項「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。

[c] 正しい。説明義務は"医療法" 第1条の4第2項に規定されています。「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。

[d] 誤り。処方箋の交付義務は"医師法"に規定されています。医師法 第22条「医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当つている者に対して処方せんを交付しなければならない。

[e] 誤り。異状死体の届出義務は"医師法"に規定されています。医師法 第21条「医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。



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選択肢[c]では、いわゆる"インフォームド・コンセント"に関することを聞いていますが、「ではその法的根拠は?」と聞かれると...難しかったですよね。

「"医師"(の説明)に関する事柄だから、、、医師法かな?」と思った受験生も多かったのだと思います。

これに関してはそう..."医療法"なのです。

何とか他の選択肢を除外できれば解答できたかも知れませんが、なかなかに難しかったと思います。。



医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。


この条文は、当時の"インフォームド・コンセント"の社会的重要性の高まりを反映して、2007年の医療法改正で盛り込まれました。

見てわかるように"努力義務"なので、法的拘束力もなければ、罰則規定もありません。

ですが、法律に書かれるほど重要であるということは言うまでもありません。

最近は、"インフォームド・コンセント"から派生して"インフォームド・アセント"という言葉も出てきました。

【インフォームド・アセント】:法的義務はないにせよ、小児の患者にもきちんと説明・同意を得ること。

この問題を機に、一度しっかり勉強し直してみてはいかがでしょうか。



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