第103回 医師国家試験 G問題 問5 [103G5]

103G5
乳幼児突然死症候群〈SIDS〉について正しいのはどれか.
a 生後1ヵ月以内に好発する.
b 夜間よりも昼間に起こりやすい.
c 上気道閉塞によって起こる.
d 剖検を行わずに診断できる.
e 「うつ伏せ寝をやめよう」キャンペーンによって減少した.




正答は【e】です。


[a] 誤り。SIDSの発症のピークは"生後2〜3ヵ月"で、1歳以降は極めて少ないと言われています。生後1ヵ月はやや早い印象です。

[b] 誤り。どちらかというと夜間・真夜中に多いとされます。

[c] 誤り。上気道閉塞が原因であれば、それは"窒息"となります。

[d] 誤り。SIDSの診断は剖検・解剖が大原則です。剖検を行わずに診断はできません。

[e] 正しい。1994年に米国で「Back to Sleepキャンペーン」が初めに開始されました。その後、1998年から日本でも厚生労働省主導のキャンペーンが開始され、SIDSによる死亡者は平成9年(1997年)が538名だったのに対し、そこから徐々に減っていき、令和2年(2020年)には95名となっています。

SIDS-shibousha.png



SIDSに関する知識を問うた問題ですね。

類似問題もいくつか出題されています。(93A42, 98G67)

それらと比べて今回もそこまで難解な問題ではなかったと思います。


SIDSの傾向としては、今回のように、

・生後2〜3ヵ月に多い
・男児に多い
・夜間に多い
・冬に多い
・死亡前に軽い感冒様症状を呈することがある
・出生時異常(早産や低出生体重児など)があった
・第1子よりも第2子以降に多い

など細かなことが言われていますが、まだはっきり分かっていません。


"「うつ伏せ寝をやめよう」キャンペーン"という言葉が少し気になった方もいたかも知れません。

これが、日本のキャンペーンを指すのか? 米国のを指すのか? はたまた全世界的な流れとしてのキャンペーンを指すのか?は分かりませんが、

なんせ「うつぶせ寝をやめましょう」という運動を起こしたら、日本を含め世界的にもSIDSの死亡者が減ったのです。


上述の画像は、日本のSIDS死亡者の年間推移ですが、こちらをみても明らかですね。

SIDS-shibousha.png

日本で「うつぶせ寝をやめようキャンペーン」を始めた平成10年以降、SIDS死亡者が順調に減ってきていますよね。(最近はやや下げ止まり傾向でありますが)

このキャンペーンの効果は絶大だったのです。



103G5.jpg