113C2
医療事故調査制度について正しいのはどれか.
a 調査は院外機関のみが行う.
b 診療に起因した死亡全てが対象となる.
c 事故発生時は医療機関から警察に速やかに届け出る.
d 調査が終了するまで,医療機関は事故の説明を遺族にしてはならない.
e 医療の安全を確保するために医療事故の再発防止を目的とした制度である.
正答は【e】です。
[a] 誤り。医療事故調査制度では、"院外機関"だけでなく、"院内調査"の実施も義務づけられています。医療法 第6条の11第1項「病院等の管理者は、医療事故が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、速やかにその原因を明らかにするために必要な調査を行わなければならない。」
[b] 誤り。医療事故調査制度の対象となるのは「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であつて、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかつたものとして厚生労働省令で定めるもの」と定められています。医療法 第6条の10第1項「病院、診療所又は助産所の管理者は、医療事故(当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であつて、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかつたものとして厚生労働省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、当該医療事故の日時、場所及び状況その他厚生労働省令で定める事項を第六条の十五第一項の医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。」
[c] 誤り。医療事故調査制度において、"医療事故"が発生した場合は、遅滞なく"医療事故調査・支援センター"へ届け出ることになっています。医療法 第6条の10第1項 ※↑の通り
[d] 誤り。医療事故が発生した場合、まずは医療機関から遺族へを説明しなければなりません。医療法 第6条の10第2項「病院等の管理者は、前項の規定による報告をするに当たつては、あらかじめ、遺族に対し、厚生労働省令で定める事項を説明しなければならない。ただし、遺族がないとき、又は遺族の所在が不明であるときは、この限りでない。」
[e] 正しい。医療事故調査制度の目的は「医療の安全を確保するために、医療事故の再発防止を行うこと」とされています。(参考リンク:厚生労働省HP)
"医療事故調査制度"に関する問題です。
医療法に新たに追加された制度について問われています。
とはいえ、問題自体は全く難しくはありませんね。
大前提となる医療事故調査制度の目的は「医療の安全を確保するために、医療事故の再発防止を行うこと」です。
"医療従事者への責任追及"等を目的とした制度では決してありません。
実際の医療事故調査の流れ自体は、"日本医療安全調査機構"のHPにある画像がわかりやすいです。
このように、医療事故発生したら、、、
①まずそれが医療事故に該当するかどうか?を"医療機関"が判断します。
前述の通り、"医療事故"の定義は「病院、診療所、助産所に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、その管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったもの」です。
②医療事故であると判断した場合、まず遺族に説明する必要があります。
この際の説明事項は下記4つです。
1. 医療事故が発生した日時、場所及びその状況
2. 医療事故調査の実施計画の概要
3. 医療事故調査に関する制度の概要
4. 医療事故調査の実施に当たり解剖又は死亡時画像診断を行う必要がある場合には、その同意の取得に関する事項
その後にやっと③医療事故調査・支援センター(以下"センター")への報告となります。
センターへの報告後には"医療事故調査"が行われます。
この事故調査調査には"院内調査"と"センター調査(院外調査)"があり、"院内調査"では、医療事故調査等支援団体に必要な支援を求めることになっています。
調査終了後、結果報告を"遺族"および"センター"に対して行います。
センターは結果報告を受けて、その結果を整理・分析し、最終的に"医療事故の再発の防止に関する普及啓発"を行います。
"医療事故調査制度"は医療法にも書かれている、医師として知っておかなければならない制度です。
是非一度"日本医療安全調査機構HP"をご覧になり、制度をきっちり理解してしてくださいね。