第99回医師国家試験 D問題 問13 [99D13]

99D13
医師法に記載されていないのはどれか.

a 診療所開設の届出
b 異状死体の届出
c 処方箋の交付
d 診断書の交付
e 診療録の記載




正答は【a】です。


[a] 誤り。診療所開設の届出は"医療法"に記載されています。医療法 第8条「臨床研修等修了医師、臨床研修等修了歯科医師又は助産師が診療所又は助産所を開設したときは、開設後十日以内に、診療所又は助産所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。

[b] 正しい。医師法 第21条「医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。

[c] 正しい。医師法 第22条「医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当つている者に対して処方せんを交付しなければならない。

[d] 正しい。医師法 第19条第2項「診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。

[e] 正しい。医師法 第24条第1項「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。



医事法、特に医師法に関する法律の問題ですね。

以前の国試解説記事にも書きましたが、(参考問題:91A9)

医師法 → 医師自身に関わる事項を規定する法律。主語は「医師は〜」が多い。
医療法 → 医療機関に関する事項を規定する法律。主語は「病院(診療所)は〜」が多い。

これを理解していれば、一つだけ異質な選択肢があることが理解できると思います。


"医療法"は医療機関に関する法律であることから、医師になっても、院長にでもならない限りあまり馴染みが出てこない法律かも知れません。

一方で、"医師法"は医師である以上必ず関わってくる法律です。

「どちらの優先順位が〜」ということではありませんが、少なくとも"医師法"は一度きっちりと読んでみても良いと思いますよ。


例えば、医師法には"医師免許の欠格事由"というのがあります。

「こういう場合には、医師免許を与えない(こともある)」という条件ですね。


医師法 第3条(絶対的欠格事由) 未成年者には、免許を与えない。

第4条(相対的欠格事由) 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一 心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三 罰金以上の刑に処せられた者
四 前号に該当する者を除くほか、医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者


このような場合は、医師免許がもらえない可能性があるわけです。("未成年"はそれだけで無条件に免許をもらえません)

これら条件のうち、1番上にある「心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの」って何だ?と思いますよね。


条文中にある"厚生労働省令"とは"医師法施行規則"のことですが、その医師法施行規則 第1条にこうあります。

第1条 医師法第四条第一号の厚生労働省令で定める者は、視覚、聴覚、音声機能若しくは言語機能又は精神の機能の障害により医師の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。


これだけ読むと、障害を持つ方は医師になれないのか?と思われる方もいるかも知れません。

しかし、次の条文にはこう書いています。


第1条の2 厚生労働大臣は、医師免許の申請を行つた者が前条に規定する者に該当すると認める場合において、該当者に免許を与えるかどうかを決定するときは、 当該者が現に利用している障害を補う手段又は当該者が現に受けている治療等により障害が補われ、又は障害の程度が軽減している状況を考慮しなければならない。

こうやって、杓子定規な判断は行わないよう義務づけているのです。


このように、法律には細かなことがたくさん書かれており、大変興味深いです。

その中でも、医師法(や医療法)は医師として働くに当たって知っていなければならないことが数多く書いてありますし、場合によっては"罰則規定"まであります。

将来医師になってから困らないよう、今のうちから一読することをおすすめします。



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