『こども法医学』レビュー

2023年10月10日発売 [1600円+税] ライフサイエンス出版 (出版社URL)

『こども法医学』B5変型判 全144頁 (著者:岩瀬博太郎)

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ニュースで話題のあの事件・事故を解明している人たちはだれ?
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世界初!?
こどもからおとなまで読んでなっとく! 法医学の世界!
ニュースで話題のあの事件・事故を解明している人たちはだれ?
日本の法医学の第一人者が法医学の世界をわかりやすく解説します!!!
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一般的に,法医学というと,映画やドラマの影響で「死体」や「解剖」などのイメージを持っているのではないでしょうか。たしかに,法医学者たちは法医学教室に運ばれてくる死体を解剖したり,さまざまな解析をすることで,日々,死体と向きあい,死因究明を行っています。しかし,その真の目的は,いま現在生きている人の安全や権利を守ることなのです。
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たとえば,殺人事件や製品事故による死因を見逃してしまうと,あらたな被害者を生みだしてしまうことになります。本書では,法医学にかんする基礎的な知識や,日本と海外とのちがいをわかりやすく学ぶことができます。また,具体的な事件や事故を例に,法医学医者がどのような視点で事件・事故と向きあっているのか知ることができます。



世にも珍しい"法医学"を子ども向けに解説した絵本?です。(※全編で漢字にフリガナあり)

そして表紙の"ボーンくん"がすごく可愛い。笑

ただ『こども』と表して、表記こそ易しいものの、やはり難しい内容も結構あるので、中学生〜ひょっとすると高校生あたりがメインターゲットにはなりそうです。

そこは「おとなまで〜」「親子で〜」という触れ込みで上手く逃げた感じですかね。笑


しかし、著者が現役の法医学の教授なので、記載の正しさや詳しさは折り紙付きです。

「警察のための法医学者」ではなく「社会のための法医学者」が的確にと説明されており素晴らしいです。

後半には多くの事例が提示されており、言わんとすることがすごく理解しやすいです。

法医学自体はもちろん、その歴史や世界との比較から、今の日本の法医学制度の問題点の指摘に至る流れはさすがですね。

著者が教授に着任した頃は設備が整っていなくて「解剖に"メス"ではなく"包丁"を使っていた」という話には驚きです...。

ご専門?の死後画像の話や、世間的にポピュラーなDNAについてもしっかり取り上げられています。


こういった本は、法医学を世間にきちんと理解してもらった上で、

「法医学って重要なんですよ〜」
「でも法医学にはこんな問題があるんですよ〜」

ということを、一般の人たちにも理解してもらうことが狙いだったりします。

こういった本が出てくるのは、法医学者としても素直に嬉しいですね!


"こども"というには多少難解な箇所はありますが、それでもこれまでの本に比べると格段に読みやすく、かつ全体像を理解しやすい本であることは間違いありません。

「この本の各項目の文量を3倍くらいに増やせば、一般向けの法医学解説本として十分成立するんじゃないか?」と思うくらいです。

今までの本で、途中で読むのを断念してしまったことのある方も、一度気軽に手に取ってみても良いのではないでしょうかッ!?