今回のテーマは"死後の日焼け"です。
皆さんは亡くなったご遺体が日焼けすると思いますか?
実は【死後でも人は日焼けする】という話もあるんですよ。
ただその説には法医学の中でも賛否両論あって、まだはっきりとした結論は出ていないのが現状です。
詳しくみていきましょう。
先ほど書いたように、この現象については、法医学の中でも評価が割れています。
"死後の日焼け"として報告されている症例をみますと、確かに日焼けしているように見えます。
生きている人も起こるような普通の"日焼け"です。
日焼けする派の人は『24時間以内なら日焼けする』と主張します。
一方で日焼けしない派の人は『それは単なる皮膚の死後乾燥であって、皮膚の色調が変わっただけだ』と言います。
"日焼け"というくらいですので、着ている服でカバーされる部分は白く、露出した部分は黒っぽくなるわけです。
露出している部分は炎天下で直射日光を浴びますので、確かに服の下よりも乾燥は進みそうですよね。
実際に似たような乾燥現象として、眼球の【tache noire】タッシュノワールというものがあります。
半目でお亡くなりになった場合、その開いた部分のみで乾燥が進み、結膜の一部が帯のように黒くなる現象です。
結局どちらが正しいのか?まだ議論は分かれるところです。
私自身はすでに裸になっているご遺体と解剖室で初対面しますので、そのご遺体がその前と比べて日焼けしたかどうか?というのは普段から判断できないんですよね...。
大変興味深いですが、私にはこれに対する明確な解答は持っていません。
ちなみに「ご遺体の髪や爪が伸びるのか?」に関しては、『死後の乾燥収縮によって伸びたように見えるだけ』で伸びません。
このように、法医学ではまだまだ分かっていない・はっきりしていないことがたくさんあります。
そういったテーマを研究していくのも我々法医学者のお仕事ですね。