第85回医師国家試験 A問題 問97 [85A97]

85A97
医師の行為について正しいのはどれか.

a 泥酔者の診療を求められたが断った.
b 患者が死亡したので1年後に診療録を廃棄した.
c 初診時,死亡していたので死亡診断書を交付した.
d 患者の勤務先から病名の問い合わせがあったが断った.
e AIDS患者を診断したので,その氏名を保健所に届け出た.




正答は【d】です。


[a] 誤り。医師法19条・応招義務を問うた問題です。正当な事由があれば求めに応じないケースもあり得ますが、単に泥酔者であることだけを以て断ることはできません。

[b] 誤り。医師法24条第2項によって、診療録(カルテ)の5年間保存が義務付けられています。

[c] 誤り。初診時点で死亡していた遺体は「自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた疾病に関連して死亡したと認める場合」ではないと考えられるため、検案の上、"死亡診断書"ではなく"死体検案書"を発行することになります。[参考問題:83A99]

[d] 正しい。刑法134条第1項(秘密漏示)や個人情報保護法第27条(第三者提供の制限)などによって患者の個人情報保護が求められています。

[e] 誤り。1999年に廃止された当時の"後天性免疫不全症候群の予防に関する法律"(=エイズ予防法)には、AIDS診断後は"都道府県知事"に対して、感染者の年齢・性別、エイズの病原体に感染したと認められる原因などを文書で報告する義務が定められていました。その後引き継がれた"感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律"(=感染症法)で、AIDSは5類感染症と定められているため、診断した医師は7日以内に患者の年齢・性別などを最寄りの保健所長を経由して"都道府県知事"に届け出る義務があります。



正答自体は常識的に考えたとしても、そこまで難しくはありませんね。

この問題のように、法律に変更がある場合もあるので、古い問題を演習する際には注意が必要です。



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