第85回医師国家試験 A問題 問26 [85A26]

85A26
正しいのはどれか.すべて選べ.

a いわゆる植物状態では自発呼吸がある.
b 一般に,心拍動・呼吸の停止,瞳孔の散大および対光反射の消失の確認によって死を判定している.
c わが国の法律には成人の死についての定義がない.
d 死亡診断書を市町村長(特別区の区長を含む)に提出して許可を受けなければ埋葬できない.




正答は【a, b, c, d】です。(全て正解)


[a] 正しい。植物状態では、呼吸を司る脳幹は保たれているため、自発呼吸を認めるとされます。(参考記事:「植物状態」)

[b] 正しい。いわゆる"三徴候説"ですね。臨床現場では、心拍動・呼吸の停止、瞳孔の散大、対光反射の消失の3つの確認を以て死亡と判定してます。(参考記事:「死の三徴候」)

[c] 正しい。"成人"の死については法的定義がなされていません。ただし"胎児"の死に関しては「死産の届出に関する規程」によって心臓膊動、随意筋の運動、呼吸の停止の三徴候と定められています。(参考記事:「死児の三徴候」)

[d] 正しい。これは死亡診断書(死体検案書)の効力として有名です。死亡診断書(と一緒になっている死亡届)を役所等に提出することで、火葬許可証を渡されます。ご遺体の火葬後、火葬許可証に「火葬済」のはんこが押され埋葬許可証として返却されます。これらを経て最終的に埋葬されます。



第85回(1991年)なので結構古い問題です。

かつては医師国家試験でも「すべてを選べ」や「4択問題」が出題されていたようです。

そして、まさかの"すべて正答"という問題もあったとは...。

ただ問題自体はそこまで難しくなかったですね。


[c]にある規則は、"狭義の法律"ではなく厳密には"厚生省令"なので、当時そこまで知っていた医学生がいたのか?は甚だ怪しいですが。

[b]は臨床に即した問題ですし、[d]は実に実生活に即した問題です。

意外と昔の問題も侮れないです。



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