118A2
高齢者の入浴中の事故の予防で正しいのはどれか。
a 食後に入浴する。
b 深夜に入浴する。
c 浴槽からでた後は体を冷やす。
d 気温が高い時期の入浴を避ける。
e 居室と脱衣所の温度差をなくす。
正答は【e】です。
[a] 誤り。基本的には飲酒を含む食(直)後は血圧が低下しやすく、入浴中の事故(≒ヒートショック)のリスクとされています。
[b] 誤り。深夜は冷え込むため、浴室温との寒暖差が大きくなり、ヒートショックのリスクが高まります。
[c] 誤り。入浴前後でできるだけ温度差を作らないことが重要なため、敢えて身体を冷やすような行為は避けるべきです。
[d] 誤り。「外気温が高い=湯温との差が縮まる」ということで、気温が高い時期(夏など)の入浴は発症リスクが低いです。
[e] 正しい。その通り、身体に作用する温度変化をできるだけ減らすことが重要です。
入浴中の事故(≒ヒートショック)に関する問題です。(参考記事:「風呂溺・ヒートショック」)
法医学者としては馴染み深い死因であるため、国試に出題されたことは大変感慨深いです。
ヒートショックを避けるには、、、
・脱衣所を暖める
・湯加減は41℃以下にする
・入浴時間は10分以内程度にする
・食(直)後や飲酒後の入浴は避ける
・入浴前にかけ湯をする
・水分を摂ってから入浴する
などの対策が挙げられます。
医師会が出している良い資料があったので掲載します。(※クリックで拡大します)
問題としても常識的で、そこまで難しくありませんよね。
しかし、このヒートショック、、、事象としては法医学者なら誰でも知っているのですが、まだまだ市民権を得ているわけではありません。
実際に、法医学の教科書にもまだ殆ど載っていないんですよね...。
なので、全国の法医学教室できちんと"ヒートショック"を教えているのか?
ひょっとすると「私の大学(法医学)ではそんなの教えてもらわなかった!」なんて受験生もいたかも。。
そこは若干斬新すぎた出題と言えるかも知れません。