2022年1月31日発売 [5500円+税] 医学書院 (出版社URL)
『標準法医学 第8版』B5判 全352頁 (編集:池田 典昭, 木下 博之)
定評ある法医学の教科書、全編カラー化の改訂第8版。死因究明等推進基本法、死因・身元調査法などの新法や、医療事故調査制度についての解説を追加。現代の法医学にかかわる重要なトピックスをコラムとして盛り込み、付録として死亡診断書(死体検案書)の書き方を収載。医学生・研修医のみならず一般臨床医にも役立つ知識を詰め込んだ一冊。(※出版社サイトより)
前版から9年ぶりに改訂された法医学のテキストです。
「法医学 改訂4版」もそうでしたが、今年は法医学教科書の新版ラッシュですね! (※参考レビュー記事)
冒頭に引用している内容紹介にもあるように、"死因究明等推進基本法"や"死因・身元調査法"という新しい法医学関連法の施行が契機となっているのでしょう。
"法医学 改訂4版"と同様、この"標準法医学"も医学生・研修医や一般臨床医向けの日本語の法医学教科書です。
前書きには「法医学に関連する分野の研究者,警察の検視官,裁判官・検察官・弁護士などの法曹関係者にとって大いに役立つことを願っている.」とも書かれていますね。
そんな今版は一言でいって、、、「素晴らしい」の一言です!
↑上画像にもあるように"全編カラー化"のおかげでとても読みやすくなっています。
それでいて、挿入されている画像やイラストも多く、大変理解しやすくなっています。
編集者・執筆者が替わり、全体では8頁分が増加しています。
一方で紙質が薄くなったため、全体の厚さは薄くなっていますね。
編集者・執筆者が変更になったことで随所の記載内容も微妙に変わっているところもあり、
表紙こそ前版と同じ白色で代わり映えしない印象を受けてしまいますが、実際に読み込んでみると大きく変化していることに気づくと思います。
具体的な内容では、下記の項目が印象的でした。
・第1章 検案と解剖 → 内容が現代に合わせてアップデートされた
・第4章 損傷 → 画像・イラストが特に増えた
・第10章 個人識別と物体検査 → 法歯学分野の記述が増えた
・死亡診断書(死体検案書)の書き方 → 追加された
ここでもやはり"全編カラー化"がかなり良い影響を与えています。
前版はどうしても単色印刷で載っている画像が見にくい点は多少ありました。
それがカラー化され、各画像が読み取りやすくなっています。
以上、とても簡単ではありますが、前版と比較しながらの"標準法医学 第8版"のレビューでした。
実は学生の頃から私はこの"標準法医学"が好きなんですよ。
読みやすくて内容も洗練されている気がします。(そして白い表紙が綺麗!笑)
それが今回の改定で更に磨きがかかった感じですかね!
あえてケチを付けるなら、紙質がペラペラになったことくらいですかね。笑
これも頁が捲りやすくなったと思えば、決して改悪でもないと言えるかも知れませんね。
今回は新しく出版された"標準法医学"をレビューしました。
今版では全編カラー化等によってさらに充実され、大変満足できる一冊でした。
興味のある方は是非とも一度実際にお手に取って見てみてください。
さて、今回の標準法医学の改訂によって、主要な法医学教科書の改訂が一通り完了した気がしています。
日本語で書かれている法医学の教科書で現在主要なのは大体下記の3つでしょうか。
・NEWエッセンシャル 法医学 第6版 (2019年3月) → 参考記事
・法医学 改訂4版 (2022年1月) → 参考レビュー記事
・標準法医学 第8版 (2022年2月) → 本記事
どれも一長一短なので「どれが最も優れているか?」というものではありません。
全般的な記述に関しては、単純に頁数が最も多い[NEWエッセンシャル法医学]が詳しいという意見もあります。
ですが、"犯罪心理学"や"プロファイル"などは[法医学 改訂4版]の方が内容は断然細かいです。
画像やイラストが多くて理解しやすさなどは今回の[標準法医学 第8版]に分があると思いますね。
基礎的な内容は3冊どれも網羅されており、「法医学の基礎としてここが致命的に抜けている!」というのは一切ありません。
従って、結局どれを選んでも全然大丈夫です。
また、医学生さんなら自分の大学の教授がおすすめしているものを買えば全く問題ないでしょう。(というか、個人的にはそれを1番おすすめします)
もちろん法医学の教科書にはこれら3冊以外にも当然ありますので、この記事も参考に過ぎませんけどね。
ただ一つだけ言えるのは、、、必ず新しい版を買いましょう!
これだけです!!
(法)医学は日々アップデートされていますので、勉強する上でここだけはケチってほしくないところですね。