"法医学"[Forensic Science]という言葉に似ている"法科学"。
今回はその"法科学"について書いていきたいと思います。
いきなり本題ですが、"法科学"とは
『犯罪に関連するすべての物体、すなわち、血痕、精液斑、毛髪、指紋、足痕跡などの証拠資料はもちろんのこと、土砂、植物、微生物、爆発物、ビデオ画像など、あらゆるものがその捜査対象となる。この学問領域を"法科学"という。』
そして、これら"法医学"を現在専門的に担っているのが"科学捜査研究所"や"科学警察研究所"です。
海外では法科学の中に法医学が位置しているようですが、日本では逆に法科学は法医学の一部ないし法医学とはまた別の独立した学問分野として存在している印象を受けます。
ただそれもあくまで言葉上の話で、実務では両者が密接に関わっており、お互いに協力し合っている関係です。
法医学と法科学違いは"医"か"科"の違いなわけですが、法科学の定義をみてもわかるように、法科学は人体を直接扱うわけではなく、『人体以外、つまり人体から分泌されたものを含む、裁判や捜査に関わる物体全般の検査を専門的に行っている』というわけですね。(※参考記事『法医学とは』)
捜査や裁判において、検査手法や結果の使い方を一歩誤れば人権侵害に関わってくる内容です。
証拠の捏造とかですね。
だからこそ、科学的・客観的な検査が求めらます。
その他にも近年は災害での活躍が期待されていると聞きます。
被災者の個人鑑定・身元特定などですね。
法科学は広い範囲をカバーしていますから、法科学の中の専門分野も多岐に渡ります。
科学警察研究所のHPで、組織図をみてもその領域の広さが分かると思います。
毛髪・皮膚・骨・血液・体液・DNA
細菌
行動科学
心理学
画像解析
火災燃焼
爆発
機械工学・銃器
交通事故
薬毒物
文書鑑定
声紋鑑定
...
パッとみただけでもこれだけありました。
すごいですよね...。
私も研究所を実際に見学させてもらったことがあるのですが、人もたくさんいて、検査機器もたくさんあって羨ましかった思い出があります。笑
中でも最近で言えばやはりDNA鑑定や画像解析などが有名どころでしょうか。
DNA鑑定はかつては各大学法医学教室で行われていたのですが、それが前述の研究所でやる方針に変わりました。
なので、スタンダードなDNA鑑定は研究所でやっています。
そして、それではうまく行かないケースや特殊な鑑定が必要な場合に、DNAの研究を専門にやっている法医学教室が委託されるという流れになってますかね。
具体的なDNA鑑定の話などはまた別の記事でゆっくり書きたいと思っています。
研究所の方が一定期間大学に来て研究・勉強をしに来たりもします。
その際にいろいろと話を聞いて私も勉強させてもらっています。
持ちつ持たれつですね。
今回は法科学について書きました。
意外と?法医学と聞くと、この"法科学"のイメージが浮かぶ人も多いようで、学生さんに法医学の印象を聞いても『解剖』とともに『DNA鑑定』を言う人もわりと多いんです。
確かにドラマやアニメでみる法医学は、解剖か?DNAか?という印象もあります。
しかし、DNA鑑定だけでなく、今回挙げたように法科学も多岐に渡っています。(もちろん法医学も)
ぜひ皆さんにいろんな分野に興味を持っていただきたいですね。