第111回医師国家試験 E問題 問15 [111E15]

111E15
医療法で規定されているのはどれか.

a 応招義務
b 医業の独占
c 医師臨床研修
d 異状死体の届出義務
e 医療機関の管理者要件




正答は【e】です。


[a] 誤り。"応招義務"は医師法に規定されています。医師法 第19条第1項「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。

[b] 誤り。"医業の独占"は医師法に規定されています。医師免許は"無償業務独占・名称独占"の資格に該当します。医師法 第17条「医師でなければ、医業をなしてはならない。」 医師法 第18条「医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。

[c] 誤り。"医師臨床研修"は医師法に規定されています。医師法第16条の2第1項「診療に従事しようとする医師は、二年以上、都道府県知事の指定する病院又は外国の病院で厚生労働大臣の指定するものにおいて、臨床研修を受けなければならない。

[d] 誤り。"異状死体の届出義務"は医師法に規定されています。医師法 第21条「医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。

[e] 正しい。"医療機関の管理者要件"は医療法 第10条に規定されています。「第1項 病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所が医業をなすものである場合は臨床研修等修了医師に、歯科医業をなすものである場合は臨床研修等修了歯科医師に、これを管理させなければならない。 第2項 病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所が、医業及び歯科医業を併せ行うものである場合は、それが主として医業を行うものであるときは臨床研修等修了医師に、主として歯科医業を行うものであるときは臨床研修等修了歯科医師に、これを管理させなければならない。 第3項 医師の確保を特に図るべき区域における医療の確保のために必要な支援を行う病院その他の厚生労働省令で定める病院の開設者は、その病院が医業をなすものである場合又は医業及び歯科医業を併せ行うものであつて主として医業を行うものである場合は、臨床研修等修了医師であつて第五条の二第一項の認定を受けたものに、これを管理させなければならない。ただし、地域における医療の提供に影響を与える場合その他の厚生労働省令で定める場合は、臨床研修等修了医師であつて当該認定を受けていないものに、これを管理させることができる。



"医療法・医師法"についての問題です。(類似問題:91A9, 99D13, 105E2)

選択肢[a]〜[d]は、ある程度有名な項目なので「"医師法"に規定されている」と知っていた受験生も多いことでしょう。


選択肢[e]の"医療機関の管理者要件"も、言葉としては分かりにくいですが、

「管理者(≒院長)は臨床研修を終えていなければならない」という条件のことですね。※ここでの"管理者"とは一般的に"院長"のことを指します。

これは前述のように医療法に規定されています。


ちなみに同法第12条には↓下記のようにも書かれていて、

病院、診療所又は助産所の開設者が、病院、診療所又は助産所の管理者となることができる者である場合は、自らその病院、診療所又は助産所を管理しなければならない。ただし、病院、診療所又は助産所の所在地の都道府県知事の許可を受けた場合は、他の者にこれを管理させることができる。

原則として「院長=開設者であるべきだ」としています。(※都道府県知事の許可を受けた場合は、同じでなくても良い)

従って、俗に言う"雇われ院長"はあくまで例外規定であることが分かります。


将来開業を目指している方は是非医療法をしっかりと読み込んでくださいね。



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