皆さんの中にも、身内が解剖となった方がいらっしゃるかも知れません。「解剖って、身体を開いて病気の有無などを観察するんだよな...。」そんな漠然としたイメージはあっても、実際のところ「具体的に何をするのか?」まで、きちんと知っている人は少ないのではないでしょうか。重要なことなのに、ネットを調べてもここを詳しく説明した記載はありません。そこで今回は「実際の法医解剖では何をしているのか?」について書いて
2023年10月10日発売 [1600円+税] ライフサイエンス出版 (出版社URL)『こども法医学』B5変型判 全144頁 (著者:岩瀬博太郎)ニュースで話題のあの事件・事故を解明している人たちはだれ?世界初!?こどもからおとなまで読んでなっとく! 法医学の世界!ニュースで話題のあの事件・事故を解明している人たちはだれ?日本の法医学の第一人者が法医学の世界をわかりやすく解説します!!!一般的に,
ヒトの臓器の数というのは決まっています。脳や心臓、肝臓などは1つ。肺や腎臓、副腎などは2つ。それでは"脾臓"は一体いくつあるでしょうか?答えは、、、1つ!...確かに殆どの人にとって「脾臓は1つ」が正解です。しかし、人によっては複数の脾臓を持っている人もいるのです。今回はその複数の脾臓である"副脾"についてみていきたいと思います。【副脾】:通常の脾臓の付近に存在する数cm(多くは1~2cm程度)の
法医学では、臨床ではなかなか見られない所見に出会うことがあります。そのひとつに"腹膜ネズミ"というものです。ネズミという名前がついていますが、決してリアルな鼠がお腹の中を這っているわけではありません。今回はそんな"腹膜ネズミ"をご紹介したいと思います。【腹膜ネズミ】:文字通り、腹膜内に生じた遊離体のこと。何らかの原因で腹膜垂(大腸にぶら下がる脂肪)の一部が脱落したものと考えられている。繊維化や石灰
1分間に約1Lの血液が流入し、そのうち100mLの血漿(血液の液体成分)を糸球体で濾過しながら毎分1mLの尿を作っている腎臓。そんな大事な腎臓の"成れの果て"とも言える"腎硬化症"について、今回は取り上げたいと思います。【腎硬化症】:腎臓が高血圧に曝されることによって細動脈に動脈硬化を来して起こる腎障害のこと。近年は糖尿病性腎症に次いで、透析新規導入の原疾患の第2位である。※上記の腎硬化症を"良性
『急死では血液が流動性であり、遷延死では血液が凝血塊を形成する。』この理由は、「急死の死戦期においては、凝血を溶かす線溶系が亢進するから」と言われています。法医学では、ごく基本的な知識です。しかし、法医学をやっていると、時にこの"死後凝血塊"と"病的血栓"を見間違いそうになることがあります。今回は、この両者について説明していきたいと思います。【死後凝血塊】:死後に形成される血液の塊。遷延した死を反
法医学で最も多い死因は"虚血性心疾患"です。(※参考記事)この"虚血性心疾患"という用語、実は法医学ではよく使われます。しかし、世間的にはあまり耳慣れない言葉だと思います。今回はこの"虚血性心疾患"について解説していきたいと思います。【虚血性心疾患】:心臓が虚血、つまり血流不足に陥ることによって、心筋細胞が酸素不足・栄養不足になってしまう病態。広義の意味では、心筋梗塞や狭心症も含む概念である。詳し
医師となれば、おそらく誰もが1度は読んだことのある"死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル"。(以下"マニュアル")実は毎年度末になると、新年度版のマニュアルが公開されます。(厚生労働省, 死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル_サイト)毎回微妙にアップデートされているのですが、皆さんはご存じでしょうか?今回は新しい令和5年版マニュアルと令和4年版マニュアルの違いをみていきましょう。結論から言うと
皆さんは"内因性急死"という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「内因性の急死、、、つまりは非外因性の急死かな」と思う方も多いでしょうが、法医学では実は少し違ったニュアンスで使われることが多い言葉なのです。今回はそんな"内因性急死"について書いていきたいと思います。【内因性急死】...一見すると、前述のように、単なる「内因性の急死」と思いがちです。しかし、これは少し違っています。日本法医学会のHPで
117F6156歳女性。強い頭痛後に、意識障害を生じたため救急車で搬入された。現病歴: 自宅で家事をしていたところ、突然強い頭痛を訴えた。その後まもなく反応が無くなったため、長女が救急車を要請した。2日前に頭痛で自宅近くの診療所を受診した際の検査結果を長女が持参している。既往歴: 12歳時に急性虫垂炎で手術。2日前に頭痛があり、自宅近くの診療所で処方された鎮痛薬を内服している。生活歴: 夫、長女お