第109回医師国家試験 C問題 問3 [109C3]

109C3
正しいのはどれか.

a 死産証書には父の氏名を記載する.
b 死亡診断書は死因統計の資料となる.
c 出生証明書は双生児の場合一枚に記載する.
d 死体検案書は診療継続中の患者に対して交付する.
e 診断書は自ら診察しないで交付することができる.




正答は【b】です。


[a] 誤り。死産証書には"父"の氏名ではなく、"母"の氏名を記載します。ただし死産証書(死胎検案書)の左側にある"死産届"に関しては、父母の氏名の記載欄があります。

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[b] 正しい。死亡診断書(死体検案書)は、"死因統計の資料"となるとともに、"人間の死亡の医学的・法律的な証明"にもなります。

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[c] 誤り。出生証明書は、双生児の場合でもそれぞれ1枚ずつ記載・作成が必要です。

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[d] 誤り。「自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡したと認める場合」には"死亡診断書"を交付し、それ以外の場合は全て"死体検案書"の交付となります。

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[e] 誤り。無診察の診断書交付は医師法によって原則禁止されています。医師法 第20条「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。



死亡証明書に関する問題です。

類似問題もたくさん出題されています。(類似問題:95E7, 97G72, 102F3, 106H10)


今回の問題では"出生証明書"や"死産証書"についての選択肢が目立ちます。

選択肢自体は常識的な内容なので、そこまで悩むことはないと思いますが、少しだけ補足します。


出産証明書は↓です。

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記載者し得る者は、「医師もしくは助産師、その他(=出産立会者)」と、場合によっては出産立会者が記載する可能性があることも特徴です。(※ただし記載の優先順位は前者から高い)

ちなみに、ここでの"出産立会者"は、『児の父または母、いずれも不可能な場合は同居人』ということだそうです。(参考リンク:日本医事新報社)


その他、細かいですが、出産証明書には「妊娠第何週数何日に生まれたか?」についても記載する必要があります。

また問題の通り、「多胎分娩であっても出生した子の数だけの出生証明書が必要」で、その子が「何人中の何番目に出産した子か?」まで記載する必要があります。

これまでに出産した子どもの数、そして妊娠満22週以後の死産児の数も併せて記載します。


一方で、死産証書(死胎検案書)は、先の出生証明書よりも記載欄は遙かに多くなります。

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死産証書(死胎検案書)の場合、記載し得る者は、「医師か助産師のみ」になります。


記載内容は、特に死産の原因等はやや専門的な知識が必要になってくる箇所かと思います。

死亡診断書と比較し、死因欄が胎児側要因と母側要因に分かれているのも死産証書の特徴です。

問題にもあったように、父の氏名を記載する欄は"死産証書"にはありません。



やや細かい話を書きましたが、国試上は過去問に出てきた範囲を覚えていれば十分かと思います。



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