日本の解剖率

「日本は死因不明社会だ!」と言われて久しく『日本の解剖率って低いんだ』というイメージはあっても、実際の日本の解剖率がどれくらいか知っていますか?よくと言われる数字が、以下の2つです。【全死亡者の"1.4%"】【警察取扱死体の"11.8%"】今回は日本の解剖率について書いていきたいと思います。次回の記事"世界の解剖率"も合わせてぜひ読んでみてください。まずこの"解剖率"という言葉をはっきりさせておき
今回は致死性不整脈に分類される"ブルガダ症候群"と"QT延長症候群"について書いていきたいと思います。致死性不整脈を起こすと、心臓が適切に拍動できずに血液を全身に送れなくなり突然死してしまいます。実際のところ致死性不整脈は法医解剖から指摘するのは極めて困難で、究極的には診断に遺伝子検査が必要になってくる難しい疾患群です。ちなみに致死性不整脈を起こす疾患は今回取り上げるもの以外にも多岐に渡ります。ま

防御創と逡巡創

今回は"防御創"と"逡巡創"について書いていきたいと思います。これらは自為/他為を判断する要素のひとつとして法医学上では重要です。"防御創"とは、『他人に刃物で切りつけられそうになった際、顔面や頭部を守ろうして腕に主に手部や前腕部にできる切創(もしくは刺創)のこと』を言います。ただ創自体は通常の切創であり、創の形態に特異的な特徴があるわけでありません。切創の場所や並び方等の情報から判断されます。ま

異常圧力に関連した死

今回はに圧力に関連した死亡について書いていきたいと思います。具体的には①減圧症 ②スクイーズ ③高山病 の3つを取り上げます。①減圧症"減圧症"は、潜函病・ケイソン病(ケーソン病)、潜水病とも呼ばれ、これらを含んだ言葉です。潜函とは地下の中で工事する際に、内部を高圧にし地下水が浸水しないようにする箱のことです。潜水病とも呼ばれますが、必ずしも潜水中にのみ起こるわけでもありません。高圧環境下では通常

死後硬直

今回は死後に出てくる死体現象のひとつである"死後硬直"に書いていきます。"死後硬直"はとても有名なので多くの人が聞いたことがあると思います。『死後に筋肉が次第に硬直していく』という現象ですね。『死後に瞳孔が収縮する(縮瞳)』『死後鳥肌が立つ(鵞皮)』『死後精液が漏出する』などもこの死後硬直が関係しています。実務上では、硬直が認められると救急隊は患者さんを病院搬送しないこともある、という話もあります

一酸化炭素中毒(CO中毒)

今回は"一酸化炭素中毒死・CO中毒死"について取り上げていきたいと思います。CO中毒は火災によって死亡する主要な原因のひとつです。また火災関連だけでなく、自殺の手段としても使用されることがあります。『"一酸化炭素"は薬毒物中毒死の中の7割以上を占める、最も死亡者の多い薬毒物』という側面もあります。従って、この病態や機序を知ることは法医学にとって極めて重要です。また我々の業界の中では、湯沸器動作不良

SIDS(乳幼児突然死症候群)

今回のテーマは乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)について書いていきたいと思います。※この疾患はまだ不明な点も数多く、この記事内容についてもあくまで一個人が書いた記載であって内容の保証はいたしませんことを改めてご理解ください。乳幼児突然死症候群(以下"SIDS"と呼びます)は文字通り乳幼児が突然にして亡くなる疾患です。「それまでの健康状態および既
今回も引き続き永久死体のひとつである"白骨"について書きます。白骨の鑑定は我々の法医業務の中でもわりと一定のウェイトを占めるもので、実務上は大変重要なテーマです。白骨化するまでの時間、白骨における性別判定、白骨からの身長推定などをに触れていきたいと思います。白骨とは『骨だけとなった状態』のことを言います。もう少し細かく書くと『軟部組織が消失し、骨や歯・爪・毛髪などの硬組織だけになった状態』とでも言

ミイラ化

前回の死蝋化と順番が逆な気もしますが、今回は"ミイラ化"について書いていきたいと思います。この"ミイラ化"は、"白骨化"や"死蝋化"と同じようにご遺体の終着点のひとつです。エジプトのミイラなどが皆さんにとってはイメージしやすいでしょうか。仏教における即身仏もミイラの一つと言えます。ここでの"ミイラ"とは『水分が失われ乾燥した状態のご遺体』を言います。皮膚は"革皮様化"というなめし革のように硬くなっ

死蝋化(死ろう化)

今回はご遺体がロウソクのようになる"死蝋・死蝋化"について書いていきたいと思います。この"死蝋"は"ミイラ"と同じカテゴリに分類されます。"永久死体"というカテゴリです。死蝋以外の永久死体についても、また後日書いていきたいと思います。"死蝋"は『身体がロウソクないしチーズのように変化した状態』を指します。灰色〜薄い黄白色をしていてモロモロしています。そしてこの死蝋になることを"死蝋化"と言います。