スーパーインポーズ法・復顔法

今回は個人識別のために行われる"スーパーインポーズ"と"復顔法"について書いていきます。"個人識別"(≒身元特定)とは、『身元がわからないご遺体が誰なのか?特定していくこと』です。身元不明の白骨や高度に腐敗したご遺体、場合によっては「所持品を何も持っておらず身元を特定できる全く情報がないご遺体」も対象になってきます。個人識別の方法にはいろいろあります。・見た目・歯並び・DNA(+血液型)・指紋・画

風呂溺・ヒートショック

今回は"風呂場での死"について書いていきたいと思います。冬場の法医学では割とメジャーなのですが、一般の方からするとあまり馴染みがないようで、学生さんに話すとびっくりされることもしばしばあるんですよね。また"溺死"とは少し病態の違う"ヒートショック"にも触れていきたいと思います。おそらく学生さんの驚きは「お風呂でも溺れるのか?」というところだと思います。確かにお風呂は浅いですし、「溺れそうになれば立
今回は我々"法医学者がみる死因"について書いていきたいと思います。日本人の死因で最も多いのは"悪性新生物(≒がん)"というのは誰でも出てくると思います。では我々「法医学者がみる死因もがんが多いのか?」と言われるとそうではありません。実は"虚血性心疾患"が約3割を占めており最も多いんです。つまり心臓の病気です。詳しくみていきたいと思います。今回のデータについては、東京都監察医務院が毎年出している統計

法昆虫学・法医昆虫学

今回は"法昆虫学"[Forensic Entomology]について書いていきたいと思います。とはいえ、私はそこまで詳しくないので、自験談に加え下記の本を参考にしました。著者名:三枝聖タイトル:【虫から死亡推定時刻はわかるのか? 法昆虫学の話】出版社:築地書館URL:http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1563-4.htm
今回はアルコール法医学の最後になります。"飲酒に関わる遺伝子型"、つまり『お酒が飲める、飲めないに関する遺伝子型』について書いていきたいと思います。皆さんの周りにも"下戸"や"酒豪"といった方がいらっしゃると思いますが、そういう人をイメージしながら読んでみてください。前回の記事で、アルコールの代謝について以下の通り書きました。エタノール→※①→アセトアルデヒド→※②→酢酸→二酸化炭素(CO2)+水
前回に引き続き"アルコール"について書きます。特に法医学の領域にスポットライトを当てていきたいと思います。今回は"アルコールと死"についてです。アルコールが直接死に関わる病態としては"急性アルコール中毒"が挙げられます。では具体的にどれくらいの濃度であれば死に至る可能性が出てくるのか?【血中エタノール濃度:3.5 mg/mL ~ 】『3.5mg/mL~から死ぬ恐れが出てきて、4.5mg/mL以上で
今回は皆さんにとっても馴染み深いであろう"アルコール"についてです。法医学においても"アルコール"というのは、昔からかなり大きな一大テーマです。ですので、到底今回だけでは書き切れないので、何回かに分けて書くことになります。今回はその中でも『アルコールはどれくらいのスピードで代謝されるのか?』というのをメインに書いていきたいと思います。あくまで目安なので、決してこの記事を基に行動するのは絶対にやめて

デートレイプドラッグ

今回は"デートレイプドラッグ"について書いていこうと思います。皆さんはこの言葉を聞いたことがあるでしょうか。「聞いたことない」という人は、この記事だけでなく、一度ネットでも本でもきちんと勉強してみてください。※参考リンク:男女共同参画局 【薬物やアルコールなどを使用した性犯罪・性暴力に関して】[https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/dfsa/ind

死後トロポニン・H-FABPの有効性

前回"警察医"について書きました。その検案業務の中で、かつて行われていた『血中トロポニン・H-FABP検査』を今回はメインに書いていきたいと思います。結論から先に書きますと、死後トロポニン測定・H-FABP測定はともに法医学者の間では『有用でない』と判断されています。詳しくみていきます。前回書いたように『警察医が検案を行った上で、その場で死体検案書を書いて終わる』こともあります。しかし、実際にご遺

警察医・検案医

前回の記事で"警察医"や"検案医"、"トロポニン"という単語を何の説明もなく出してしまったので、今回・次回で少し解説していきたいと思います。大雑把に書いてしまいますと、警察医・検案医:『警察の依頼を受けてご遺体の検案を行う医師のこと』です。詳しくみていきましょう。"警察医"は"検案医"や"警察嘱託医"とも呼ばれます。『都道府県の警察署長などから嘱託され、変死体の検案の他、被留置者の診療や警察職員の