今回は"verbal autopsy"について書いきます。日本語では"口頭剖検"と呼ばれるようですが、私自身もあまり聞きません。英語での[verbal autopsy](=VA)の方が有名な気がします。【verbal autopsy】:遺族や医療スタッフへの聴取に基づいて死因を確認するために用いられる手法。Verbal autopsy is a method used to ascertain t
解剖でも五感をフルに活用します。・視覚・聴覚・触覚・嗅覚 (→ 今回)・味覚...ではなく第六感!の五感ですね。今回はこのうちの"嗅覚"に焦点を当てたいと思います。解剖時には様々なにおいを感じます。慣れてくると、解剖室に入った瞬間に、そのにおいでご遺体の状況が分かってきます。今回はそんな"におい"についてご紹介していきましょう。特徴的なにおいは下記の通りです。・腐敗のにおい・ミイラのにおい・死蝋の
今回は"解剖助手"の仕事についてご紹介したいと思います。「解剖"助手"って何?」「実際に解剖では何をするの?」という点に絞って書いていきたいと思います。なお細かな解剖助手業務については、法医学教室や所属する施設によって違います。この記事が全てだと思わないでくださいね。『解剖助手』:執刀医(法医学医)の"解剖補助"を行う者。"解剖補助"は剖出業務に限らない。解剖助手の殆どが"臨床検査技師"の資格を持
今回は死後経過時間を推定するために使用される"ノモグラム法"をご紹介したいと思います。この"ノモグラム法"は手順通りやれば誰でも簡単に使用できるツールで便利です。日本では使用している話をあまり聞いたことはありませんし、一部のテキストで触れられているくらいです。しかし、海外の教科書では普通に記載されていますし、由緒正しい推定法だと思います。みていきましょう。これが"ノモグラム"です。大前提として、直
皆さんは"突然死"という言葉を聞いたことはありますか。法医学ではこの"突然死"という言葉がしばしば出てきます。英語では"sudden death"です。「突然亡くなったのが"突然死"でしょ?」と思った方は最後まで是非読んでいただきたいですね。『突然死』:症状発症の24時間以内に起きた非外傷性の予期せぬ死。"Sudden death is non-violent, unexpected death
2020年時点で、日本で飼われている犬は約850万頭、猫は約960万頭だそうですね。そうなってきますと、まだまだ珍しいケースではありますが、「イヌに噛まれた」というご遺体に出会うことがあります。臨床医学で言うところの"犬咬傷"ですね。法医学においては、まさにこの犬咬傷が死因となることもあれば、死後の損壊としてみられることもあります。オオカミを祖先とするイヌは肉食動物です。飼い主の死後、食べ物が亡く
今回は法医実務向けな記事です。頭蓋骨の"解剖学的名称"を画像とともにお示ししていきます。骨を含め身体の臓器に関して、専門家の間で議論するには"共通認識"が必要になります。"心尖部"と言えば「心臓の下側先端部」がイメージできなければなりませんし、"肝床部"と言われれば「胆嚢が引っ付いている肝臓の裏面」が想像できなければなりません。ブログではひとつひとつ文章で説明すればよいですが、専門家の白熱する議論
今回は"強直性硬直"について書きます。死後硬直は死後数時間後に顎関節から始まるのが典型的です。(参考記事:「死後硬直」)つまり死直後〜早くても死後1時間弱の間は筋肉は弛緩していることが殆どです。ところが、この死直後に弛緩が起きないケースがあるとされており、この現象を"強直性硬直"と呼びます。強直性硬直[cadaveric spasm/instantaneous rigor/cataleptic s
法医学者に対する間違った認識でよくあるのが、『法医学者は死亡確認を頻繁に行っている』というものです。この誤認識について今回は書いていきたいと思います。法医学者は死亡確認のプロではありません。というか、法医学者は殆ど死亡確認はしません。詳しく説明していきます。法医学者が死亡確認をしない理由...それは、「既に死亡確認された後のご遺体」が法医学者のところに運ばれてくるからです。『法医学者は基本的に現場
今回は[autoerotic death]について書いていきます。適する和単語がなく日本でも「オートエロティックデス」とそのまま呼ばれることも多いです。その特異な死亡状況から世間からはしばしば好奇の目で見られてしまいますが、本記事では法医学視点から真面目に書いていきます。『オートエロティックデス』[Autoerotic death]:"自慰行為に関連した死"のこと。典型的には直接的な死因は"窒息"