法医学者の食事

今回は"法医学者の食事"について書きたいと思います。とは言っても、普通の大学スタッフと変わらないんですけどね。笑結論から言うと、・お弁当を持って行く・コンビニで買って行く・買い置きしてあるものを食べる・学食で食べるといったところでしょうか。私自身はお弁当かレトルトが多いですかね。法医学教室は大学にあるので学生食堂もあるのですが、行ったとしても私は解剖が入ってない日くらいです。昨今は感染症のこともあ
今回は解剖で実際に使う道具をご紹介したいと思います。手術と違い、解剖では活動性の出血がないため、手術道具で使うような繊細な道具は比較的多くはありません。早速みていきましょう。【切る道具】・メス・解剖刀・剪刀(はさみ)・肋骨剪刀【掴む道具】・有鉤/無鉤鑷子(ピンセット)・有鉤/無鉤鉗子・骨鉗子【計る道具】・定規・秤・ゾンデ・ノギス・角度計【その他】・木枕・解剖用鋸・骨膜剥離子・T字ノミ・ノミ・金槌・
法医実務では、白骨を鑑定する機会もしばしばあります。参考記事:白骨・白骨化免許証や服装、その他身元特定に繋がるような試料が残されていれば、ある程度スムーズに事が運びます。しかし、それらがない場合、身元を特定するものが何もない場合、骨から得られた個人を推定できる所見が頼りとなってきます。とは言え、「どこの誰か?」レベルまで特定することは実際は難しいことが多いです。(骨折用プレートやペースメーカーなど
今回は"頭蓋にまつわる血腫・出血"を取り上げていきたいと思います。有名なところで言えば"くも膜下出血"や"硬膜下血腫"です。脳が身体の中でも重要な臓器のひとつであることはもはや言うまでもありませんよね。その脳を守るのが"頭蓋骨"です。脳を守るためには当然防御力が高くないといけません。従って、頭蓋は固い骨で形成されています。(ちなみに頭蓋を形成する骨は"15種23個"です。)しかし、そのように堅い骨

縊頚 -首にかかる力とその影響-

"縊頚"(いわゆる"首吊り")という方法は、自殺の手段の中で最も多くを占め、本邦では全体のおよそ7割に及びます。そのため、法医実務の中でも"縊頚"にまつわる所見やポイントというのは結構存在します。参考記事:縊頚・絞頚・扼頚の違い参考記事:シモンの出血参考記事:アミュサ徴候今回は、その"縊頚"に絞って書いていこうと思います。取り上げるのは以下の2点です。・首にかかる力・動脈/静脈/気管の閉塞・舌骨/
今回は鈍的外傷の際に認められる"二重条痕"について書いていきたいと思います。この"二重条痕"は特殊な条件下で起こりやすいと言われており、時に虐待などにおいても問題になることがあります。『二重条痕』[double linear marks]:直接打撃を受けた部位が蒼白調を呈し、その周縁に皮下変色が生じた創傷のこと。("辺縁性出血"と呼ぶこともある)具体例を挙げると...棒状の鈍体による打撃 → 平行
今回は法医学の大学院生(博士課程)の生活について書いていこうと思います。主に私の経験を元にした記載内容です。研修医としての卒後臨床研修は終えている前提で話を進めさせていただきます。(参考記事:「法医学と研修制度」)またいわゆる"論文博士"ではなく"課程博士"について書きます。今回のテーマ内容はあくまでも"私の場合"であって、各法医学教室によってかなり大きく異なります。具体的には言えませんが、周りの

法花粉学 [Forensic Palynology]

今回のテーマは"法花粉学"です。皆さんは"法花粉学"という言葉を知っているでしょうか?実は私自身も海外の教科書を読むまでその存在を知りませんでした...。しかし、英語版ウィキペディアにも載っているような由緒正しい?学問なんですよ!(参考Wiki:Forensic Palynology)"法昆虫学"とも似ているようで似ていないような...。(※参考記事:「法昆虫学・法医昆虫学」)むしろ溺死の際の"プ
"法医学"や"法医学者"という言葉の定義は様々ありますが、私が自身を説明する際に言うセリフはいつも決まっています。『私は死因を究明する人です。』解剖する人でも、事件を解決する人でもありません。私自身は法医学者は死因究明のための職業だと思ってやっています。今回は"死因究明の意義"について考えていきます。なぜ死因究明が必要なのか?答えは「必要とする人がいるから」と言えます。一見答えになっていませんが、

法医学者あるある

今回は肩の力を抜いて「法医学者あるある」です。医者の中でも特殊な存在である法医学医。私自身が実際に経験したことを中心に"あるある"を書いていきたいと思います。・解剖後は極力エレベーターは使わない・マイ長靴を持っている・検視官や警察官と仲良くなる・バイト先で死亡診断書の書き方を聞かれる・海や山に行くと人気のないところが無駄に気になる・職業を聞かれた際に何と言っていいか迷うこれらの"あるある"に加え、