法医学には様々なバックボーンをもった人がいます。・ダイレクトに法医学教室に足を踏み入れた法医学者・臨床医から転科?してきた法医学者・弁護士資格を持つ法医学者・企業や科捜研から鞍替えしてきた法医学者どんな法医学者であっても、どこかタイミングで当然『法医学に進もう』と思ったわけです。今回はそんな"法医学者を目指した動機・理由"というのをテーマに書いていこうと思います。冒頭に書いたように、法医学者にもい
法医学においては、医師や臨床検査技師などの資格を持った人が活躍しています。(参考記事:「いろいろな法医学者」)法医学で活躍する国家資格も上記2種だけでは当然ありません。歯科医師・看護師・診療放射線技師...etc。その中でも今回は"三師会"のひとつにも数えられる"薬剤師"について書いていきたいと思います。法医学における薬剤師さんは、・"薬毒物分析"という法医実務・法医学教室における"研究"上記の2
解剖は死因を究明するために行われます。では実際のところ『解剖をするとどれくらいの割合で死因が特定できるのか?』今回はこれについて書いていきたいと思います。また"解剖"だけでなく、"死後CT検査"や"体表観察"のみの場合による死因確定率も一緒にみていきましょう。結論から書きますと、各方法による死因確定率は...解剖のみ:80%死後CTのみ:30%死後MRIのみ:50%体表観察(検案)のみ:10%ざっ
今回はDNA分野で頻繁に用いられる"ポリメラーゼ連鎖反応"(通称PCR)という手法について取り上げたいと思います。PCR = Polymerase Chain Reactionということなので、この反応は(DNA)"ポリメラーゼ"という酵素が重要な鍵となっています。DNA(デオキシリボ核酸)は細胞の核内に存在します。そして細胞が分裂する際には、その持っているDNAも複製しなければなりませんよね。ま
皆さんは法医学の教授にどのようなイメージがありますか?当然"白い巨塔"のようにドロドロなんてしていませんよ。法医学教室は大学(院)の一部門であるため、他の教室と同様基本的には必ず教授ポストがあります。今回は特に法医学の教授に特徴的な点をメインに書いていこうと思います。どれも「他部門(臨床系教授など)と比べて〜」という意味だとお考えください。・若くして教授になることが多い・そのため教授歴も長くなるこ
以前、個人特定に使用される方法として"指紋法"の記事を書きました。(参考記事:「指紋法」)指紋は「指先にある紋様」のことでした。"終生不変・万人不同"を特徴とし、現代でも有用なツールとして現場で使用されています。しかし、人体の中で紋様があるのは指先だけなのでしょうか?答えは否です。身体には他にも特有な紋様を持つ部位が多数あります。具体的に『くちびる・手のひら・足』です。今回はこれら3つの"紋"につ
『法医学者(医)は医師の中でも法律に精通しているんだろうな』そんなイメージを皆さんの中にもお持ちの方がいらっしゃるかも知れません。実際のところそうなのか?法医学者は法律に詳しいのか?今回はこの点に触れていきたいと思います。結論から言いますと、『法医実務の中で法律に触れる機会は多いため、法医学医は"医師の中では詳しい方"とは言えるかも知れないが、法医学者の全員が全員、特別な訓練や勉強をしているわけで
『法医学教室は大学(院)に所属している』ということは知っている人も多いと思います。しかし、全国数ある大学全てが法医学教室を持っているわけではありません。いやむしろ実際は法医学教室を持っていない大学の方が多いのです。今回の記事では、具体的に『法医学教室を持つ大学』を挙げていきたいと思います。『法医学教室を持つ大学』は、基本的に「医学部(医学科)を持つ大学」と言ってよいと思います。つまり『医学部医学科
ヒトはいつから"人"として扱われるのでしょうか。卵子と精子が出会って受精したらなのか?受精卵がお母さんのお腹の中に着床したらなのか?胎児の心臓が動き出したらなのか?お母さんが胎動を感じたらなのか?...etcいろんな考え方ができると思いますが、法律上はある程度の方向性が言われています。ヒトが"人"としての諸権利を得るタイミングは、法学上は下記の2通りです。胎児の身体が全て母胎の外に出た時:【全部露
交通外傷シリーズの最後は"その他の交通事故"です。特に"鉄道事故"と"航空機事故"、"船舶事故"に触れてシリーズを閉めていきたいと思います。「鉄道事故は"自殺"」「航空機事故は"大事故"」「船舶事故は"事故"」という印象が強いと思いますが、実際もその通りだと思います。特に前2者はかなりの高エネルギー外傷となるため、ご遺体の損傷は極めて激しいことが多いです。ですので実際のところ、あまり記載する内容は