法医学の教授

皆さんは法医学の教授にどのようなイメージがありますか?当然"白い巨塔"のようにドロドロなんてしていませんよ。法医学教室は大学(院)の一部門であるため、他の教室と同様基本的には必ず教授ポストがあります。今回は特に法医学の教授に特徴的な点をメインに書いていこうと思います。どれも「他部門(臨床系教授など)と比べて〜」という意味だとお考えください。・若くして教授になることが多い・そのため教授歴も長くなるこ

口唇紋・掌紋・足紋

以前、個人特定に使用される方法として"指紋法"の記事を書きました。(参考記事:「指紋法」)指紋は「指先にある紋様」のことでした。"終生不変・万人不同"を特徴とし、現代でも有用なツールとして現場で使用されています。しかし、人体の中で紋様があるのは指先だけなのでしょうか?答えは否です。身体には他にも特有な紋様を持つ部位が多数あります。具体的に『くちびる・手のひら・足』です。今回はこれら3つの"紋"につ

法医学と法律・法学

『法医学者(医)は医師の中でも法律に精通しているんだろうな』そんなイメージを皆さんの中にもお持ちの方がいらっしゃるかも知れません。実際のところそうなのか?法医学者は法律に詳しいのか?今回はこの点に触れていきたいと思います。結論から言いますと、『法医実務の中で法律に触れる機会は多いため、法医学医は"医師の中では詳しい方"とは言えるかも知れないが、法医学者の全員が全員、特別な訓練や勉強をしているわけで
『法医学教室は大学(院)に所属している』ということは知っている人も多いと思います。しかし、全国数ある大学全てが法医学教室を持っているわけではありません。いやむしろ実際は法医学教室を持っていない大学の方が多いのです。今回の記事では、具体的に『法医学教室を持つ大学』を挙げていきたいと思います。『法医学教室を持つ大学』は、基本的に「医学部(医学科)を持つ大学」と言ってよいと思います。つまり『医学部医学科
ヒトはいつから"人"として扱われるのでしょうか。卵子と精子が出会って受精したらなのか?受精卵がお母さんのお腹の中に着床したらなのか?胎児の心臓が動き出したらなのか?お母さんが胎動を感じたらなのか?...etcいろんな考え方ができると思いますが、法律上はある程度の方向性が言われています。ヒトが"人"としての諸権利を得るタイミングは、法学上は下記の2通りです。胎児の身体が全て母胎の外に出た時:【全部露
交通外傷シリーズの最後は"その他の交通事故"です。特に"鉄道事故"と"航空機事故"、"船舶事故"に触れてシリーズを閉めていきたいと思います。「鉄道事故は"自殺"」「航空機事故は"大事故"」「船舶事故は"事故"」という印象が強いと思いますが、実際もその通りだと思います。特に前2者はかなりの高エネルギー外傷となるため、ご遺体の損傷は極めて激しいことが多いです。ですので実際のところ、あまり記載する内容は
交通外傷の乗員編もいよいよ最後です。交通外傷4:ハンドル損傷、ペダル損傷交通外傷5:シートベルト損傷、エアバッグ損傷、鞭打ち損傷今回は"ダッシュボード損傷・サブマリン現象"です。特に前者は『助手席で多い』とされ、しばしば乗員の位置の推定にも使用されますが、あまりはっきりしないことも多い印象があります。【ダッシュボード損傷】:ダッシュボードにぶつかることで起きる損傷。膝や太ももに出来ることが多い。打
前回は主に"運転手"に認められる交通外傷でした。(参考記事:「ハンドル損傷、ペダル損傷」)今回取り上げる"シートベルト損傷・エアバッグ損傷・鞭打ち損傷"は、運転席・助手席のどちらでも起こり得る損傷です。また"シートベルト損傷"はシートベルトを着用する後部座席でも起こり得ます。【シートベルト損傷】:車外放出を防ぐシートベルト自体による損傷。肉眼的に肩や胸腹部の皮下出血が認められることが多い。体内の損
前回までは、交通外傷の中でも特に"歩行者"における損傷を書いてきました。交通外傷1:バンパー損傷、メッセラー骨折交通外傷2:ボンネット損傷、フロントガラス損傷交通外傷3:タイヤマーク、伸展創今回からは自動車の"乗員"に認められる交通外傷(損傷)についてみていきたいと思います。乗員の位置(誰がどこに座っていたのか?)というのは、交通外傷を考える上でもかなり重要となってきます。もっと具体的に言うと「誰
引き続き「歩行者における交通外傷」シリーズです。交通外傷1:「バンパー損傷」交通外傷2:「ボンネット損傷、フロントガラス損傷」今回は3次損傷・轢過損傷としての"タイヤマーク・伸展創"がメインです。"3次損傷"とは「2次損傷に続いて起こる損傷」のことを言います。「跳ね上げられた後に地面と衝突した際に起こる外傷」のことで、後述の"轢過損傷"と対比して具体的に"転倒損傷"とも呼ばれます。ここまでの1次〜