今回は死亡時刻を推定する際に、深部体温(直腸温)以外の情報から推定する方法について書きます。(参考記事:「直腸温法」)具体的には、①死斑②死後硬直③角膜混濁④腐敗変色この4つを参考にする方法です。各所見のまとめは上画像の通りです。例のごとく医師国家試験の過去問を取り上げて説明していきたいと思います。[92E11]77歳の男性。一人暮らし。肺気腫による低換気状態であり、本人の希望で在宅療養をしていた
前回「死亡時刻の推定」について医師国家試験の過去問を取り上げて解説しました。今回も法医学に関する過去問について書いていこうと思います。テーマは『死亡診断書・死体検案書の"死亡したとき"はどの時刻を書くか?』です。おそらく法医学に詳しい方なら、「それは(死亡確認時刻でなく)死亡時刻でしょ」と思うかも知れませんね。そして、実際に"死亡診断書記入マニュアル"にも『死亡確認時刻ではなく死亡時刻を記入するこ
今回はミステリー小説でもよく取り上げられる「死亡時刻の推定」について書きたいと思います。せっかくなので、実際の医師国家試験の過去問を見ながら進めていきましょう。問題番号は、・第102回E問題42番・第98回I問題24番・第115回F問題15番これらの問題は【死後は深部体温が1時間あたり0.8℃下がっていくこと】を利用して比較的簡単に解けます。それでは、実際の問題を見ていきたいと思います。[102E
今回は「法医学者の結婚観」について書きたいと思います。似たような記事は以前も書きました。(参考記事:「法医学は7Kか?」)皆さんは法医学者に対してどのようなイメージを持っているでしょうか?アンナチュラルでは『法医学者は結婚できない』監察医朝顔では『警察官と結婚』なんて女性法医学者が描かれていましたよね。(俳優さんは皆さんお綺麗でしたけど...笑。)では実際の法医学者はどうなのか?もちろん普通に結婚
今回は「法医学者の忙しさ」について書いていきたいと思います。皆さんは法医学者の仕事について、どのようなイメージを持っているでしょうか?ドラマを観ていると「プライベートも充実して子育てにも奮闘して...」という感じで、割とゆったりとしているイメージを持っているかもしれませんが、意外?と忙しいです。以前法医学者の生活についての記事を書きました。参考記事:「法医学者の一日」参考記事:「法医学者の休日」こ
以前『法医学者になるまで何年かかるか?』という記事を書きました。(参考記事:「何年かかるか?」)今回は『法医学者になるまでにいくらの費用がかかるのか?』というのを書いていきたいと思います。法医学者を目指す人にとって"お金"も現実的な問題ですからね。実質的には「大学の学費」「大学院の学費」になってきます。国立大学の学費:349万6800円 (6年間)国立大学院の学費:242万5200円 (4年間)合
我々法医学者にとって、警察から提供される情報はとても重要です。それをなくして正確な死因究明は不可能と言って良いでしょう。なぜなら、現行の法医学制度では、我々が実際に現場で情報を収集するわけではないからです。そうした中、『服用していた内服薬から警察が誤って推測した病名を医師が死体検案書に記載していた』というのがニュースになりました。この問題点について今回はみていきたいと思います。結論から言うと、『医
今回は"キャスパー徴候"(Casper's sign)について書いていきたいと思います。"キャスパー"と聞くと、法医学に詳しい方は...「あぁ、水や土の中だと腐敗が遅れるヤツねぇ。」と思うかも知れません。...しかし、それではありません!それは"キャスパーの法則"(Casper's law)です。(参考記事:「キャスパーの法則」「腐敗」)同じ"キャスパー"でも徴候と法則で大きく意味が違うんですね。
今日は趣向を変えて、過去に出会った個人的に思い出深い疾患について書きたいと思います。それは"輪ゴム症候群"です。皆さんはこの病気を聞いたことがありますか。これは別に法医学で有名な病名なわけでもないのですが、皆さんにも知ってほしくて取り上げようと思います。英語で"Rubber Band Syndrome"というのが正式名称のようです。正式名称かは分かりませんが、日本語では"輪ゴム症候群"となりますか
もしかしたら皆さんも実際に見たことがあるかも知れない"死亡診断書・死体検案書"。これ↓ですよね。実はこの様式になったのは平成7年1月からでした。それまでは↓の画像のような旧様式の死亡診断書・死体検案書を使っていたんですよ。意外とあっさりしていますよね。具体的には新様式(現行)への変更に伴い、ICD-10に従って・死因欄を3つ→4つへ増加・疾患の終末期としての心不全の記載は原則禁止・妊娠や分娩の状況