今回は"DNA鑑定"について書きたいと思います。専門的な内容を書き出すと長くなってしまうので、今回はできる限りさわりを簡潔に書いていきたいと思います。気になる方は専門書を読んでください。笑今回はDNA検査の総論として、特に、『DNA検査は①何のために、②何に着目して行われるのか?』という話に焦点を絞って書きます。とは言え、まずはそもそもの"DNA鑑定"についてです。DNA鑑定:『個人のDNA配列(
皆さんが普段?目にするであろう"死因統計"。医師(歯科医師)の作成する死亡診断書・死体検案書を基にして、1年に1回、人口動態統計として集計されています。今回のテーマはこの"死因統計の不正確性"です。我々医師が書いた死亡診断書・死体検案書は遺族に手渡されます。そして遺族等を通して役所に提出されます。その情報は次に役所から厚生労働省に行き、最終的に死因統計としてまとめられます。このシステムは、医師が死
もし自殺したいと思っている方がいらっしゃったら、まず下記の相談窓口などに気軽にお話してください。出典:厚生労働省HP 「まもろうよ こころ」[https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/]法医学者は、自殺を遂げたご遺体をみる機会が多々あります。我々自身ではなかなかそのご遺体のバックボーンや周辺環境を調べることはできません。しかし、警察から頂いた情報を死因究明に役立
今回は"洗冤録"について書きたいと思います。皆さんは世界最古の法医学書と言われるこの本を知っていますか。※画像は"洗冤録"そのものではなく、"洗冤録"について書いた和書です。この本は1247年に中国で書かれたものであり、日本でいうと鎌倉時代になりますね。この時代は"解剖"はまだ行われておらず、あくまで「外からの観察≒検視」が捜査の初動であったようです。書いた人は"宋慈"さんという役人さんで、今でい
今回は「法医学に向いているのはどういう人か?」というテーマです。私の独断と偏見ですけどね。笑私自身が『こういう法医学者と一緒に仕事したら働きやすいんだろうなぁ』という観点も含めて書いていきたいと思います。結論から書きますと、私が考える"法医学に向いている人"は...・コミュニケーション能力がある人・秘密厳守が守れる人・高い倫理観のある人・探究心(好奇心)のある人・思いやりのある人と思います。逆に"
今回は薬毒物スクリーニング検査で使われていた"トライエージDOA"について書いていきたいと思います。『薬毒物中毒は全般的に肉眼的な所見に乏しい』と言われますので、こういったキットは死因究明において必需品です。ただこの"トライエージ"というキットに関しては、臨床現場でもよく利用されていた簡易尿検査キットだったのですが、現在はもう販売を終了しており、今現在使用されることはありません。ですが、基本的な考
法医学者には"多彩なバックボーンを持つ人"が多いのも法医学の特徴です。【臨床での診療科であれば何科と相性が良いのか?】そう気になっている人もいると思います。また「(将来)何科を勉強したらよいのか?」「何科に進んだらよいのか?」と悩んでいる医学生もいるかも知れません。今回はそういった観点も含め『何科出身の医師がいるのか?』について詳しく書いていきたいと思います。結論から言うと、【ほぼ全診療科出身の法
今回は「医学部在学中に法医学と接する機会」について書いていきます。ただしこれはあくまで一例であって、大学ごとにカリキュラム・システムは大きく違います。従って、皆さんが在学している大学の法医学も同じかどうかの保証はありません。その点はあしからずご了承ください。さて、無事医学部に入学できたとして、実際にどのような機会で法医学に触れるのか?以前にもチラッと触れたことはありますが、(参考記事:法医学を学ぶ
前回の記事では『まずは自身の通う大学の法医学教室へ相談を』という話をしました。それでは【各大学の法医学教室では一体何が違うのか?】今回はこれについて書きたいと思います。ある意味、この"違い"を考慮して「どの法医学教室がよいか?」というのを考える人もきっといると思います。ただ今回挙げた項目が単純に「多いから良い、少ないから悪い」という話では決してないことには十分ご注意ください。あくまでその教室の特徴
今回は実際に医学部に入学し、その上で法医学に進みたいと思っている人に向けた記事です。以前にも関連記事を書いていますので、そちらもよろしくお願いします。[参考記事:法医学者になるには][参考記事:法医学と臨床研修]法医学教室は各都道府県の大学に少なくともひとつは存在するわけですが、その中で『どこの法医学教室を選べばいいのか?』という悩みは必ず出てくると思います。これは多くの法医学を目指す医学生さんに