ヒトはいつから"人"として扱われるのでしょうか。卵子と精子が出会って受精したらなのか?受精卵がお母さんのお腹の中に着床したらなのか?胎児の心臓が動き出したらなのか?お母さんが胎動を感じたらなのか?...etcいろんな考え方ができると思いますが、法律上はある程度の方向性が言われています。ヒトが"人"としての諸権利を得るタイミングは、法学上は下記の2通りです。胎児の身体が全て母胎の外に出た時:【全部露
交通外傷シリーズの最後は"その他の交通事故"です。特に"鉄道事故"と"航空機事故"、"船舶事故"に触れてシリーズを閉めていきたいと思います。「鉄道事故は"自殺"」「航空機事故は"大事故"」「船舶事故は"事故"」という印象が強いと思いますが、実際もその通りだと思います。特に前2者はかなりの高エネルギー外傷となるため、ご遺体の損傷は極めて激しいことが多いです。ですので実際のところ、あまり記載する内容は
交通外傷の乗員編もいよいよ最後です。交通外傷4:ハンドル損傷、ペダル損傷交通外傷5:シートベルト損傷、エアバッグ損傷、鞭打ち損傷今回は"ダッシュボード損傷・サブマリン現象"です。特に前者は『助手席で多い』とされ、しばしば乗員の位置の推定にも使用されますが、あまりはっきりしないことも多い印象があります。【ダッシュボード損傷】:ダッシュボードにぶつかることで起きる損傷。膝や太ももに出来ることが多い。打
前回は主に"運転手"に認められる交通外傷でした。(参考記事:「ハンドル損傷、ペダル損傷」)今回取り上げる"シートベルト損傷・エアバッグ損傷・鞭打ち損傷"は、運転席・助手席のどちらでも起こり得る損傷です。また"シートベルト損傷"はシートベルトを着用する後部座席でも起こり得ます。【シートベルト損傷】:車外放出を防ぐシートベルト自体による損傷。肉眼的に肩や胸腹部の皮下出血が認められることが多い。体内の損
前回までは、交通外傷の中でも特に"歩行者"における損傷を書いてきました。交通外傷1:バンパー損傷、メッセラー骨折交通外傷2:ボンネット損傷、フロントガラス損傷交通外傷3:タイヤマーク、伸展創今回からは自動車の"乗員"に認められる交通外傷(損傷)についてみていきたいと思います。乗員の位置(誰がどこに座っていたのか?)というのは、交通外傷を考える上でもかなり重要となってきます。もっと具体的に言うと「誰
引き続き「歩行者における交通外傷」シリーズです。交通外傷1:「バンパー損傷」交通外傷2:「ボンネット損傷、フロントガラス損傷」今回は3次損傷・轢過損傷としての"タイヤマーク・伸展創"がメインです。"3次損傷"とは「2次損傷に続いて起こる損傷」のことを言います。「跳ね上げられた後に地面と衝突した際に起こる外傷」のことで、後述の"轢過損傷"と対比して具体的に"転倒損傷"とも呼ばれます。ここまでの1次〜
今回は「歩行者における交通外傷」の中の"ボンネット損傷・フロントガラス損傷"について書いていきます。前回の記事では、1次損傷としての"バンパー損傷"を書きました。(参考記事:「バンパー損傷」)今回取り上げる"ボンネット損傷・フロントガラス損傷"は、バンパーに衝突後に続いて発生する外傷であり、こういったものを"2次損傷"と呼びます。詳しくみていきましょう。ボンネット損傷:ボンネットによる鈍的2次損傷
今回から数回に分けて"交通外傷"シリーズを書いていこうと思います。"交通外傷"...特に自動車事故をメインに触れます。転倒や打撲等の外傷に比べると、自動車による外傷は遥かに高エネルギーです。そのため、損傷も重篤かつ致命的なことが多く、臨床現場でも大きなテーマとなっています。法医学においても"交通外傷"の重要性は高く、『その交通外傷(事故)が何によって起きたのか?』を医学的側面から究明していくことが
「出血した血液はどれくらい経てば固まるのか?」今回はこれについて考えてみたいと思います。ドラマでも血液の固まり(乾燥)具合から、時間経過を判断するワンシーンがあると思います。あれですね。ただ、この知識自体は現場に赴かない法医学者にとってはあまり馴染みのない話です。むしろ検視官や鑑識の方の方が詳しいとは思います。ですので、「血液の乾燥」に併せて「血液の凝固」についても触れていきたいと思います。こちら
今回は"制縛死"について書いていきます。この"制縛死"という言葉を皆さんは聞いたことはあるでしょうか。法医学でも近年はあまり使われない言葉です。文字通り「制縛による死、制縛中の死」ということなのですが、制縛:圧迫や制限を加えて自由を束縛すること。ということで、その拘束や束縛の状況など死亡時の周辺情報が重要となります。"制縛死"とは、その死の状況を表したに過ぎないので、病名(死因名)ではないことには