近年では"肺炎"という死因をよく耳にするようになりました。数年前に国試受験生だった方の中には『"肺炎"が日本の死因の3位になった!』と勉強した人もいるのではないでしょうか。そして、その際「これは高齢者の"誤嚥性肺炎"が増えたからである」と学んだはずです。それでは、最近ではその統計がどうなっているか知っていますか?ということで、今回は【最近の死因統計における"肺炎・誤嚥性肺炎"】についてみていきたい
我々が日々行う"解剖"ですが、その解剖形式には大きく4種類あると言われています。"ルチュール法 / Letulle法""ウィルヒョウ法 / Virchow法""ゴーン法 / Ghon法""ロキタンスキー法 / Rokitansky法"この4つです。ただ実際の解剖では、どれか1つに厳格に準じているわけではなく、それぞれを織り交ぜた術式で行っているところが多いと思います。ルチュール法 [Letulle

法医学で扱う様々な体液

身体の中には様々な体液(体内液)があります。最もポピュラーなのは"血液"ですかね。臨床医学でも、血液検査を行うことで患者さんの病態をいろいろと把握できます。法医学でも同じように、体液(体内液)を検索することは重要です。しかし、"体液"は"血液"だけではありません。今回は法医学で扱う様々な"体液"について書いていきたいと思います。【体液一覧】・血液 [blood]・髄液 [cerebrospinal
2022年3月27日発売 [1000円(税込)] 22世紀アート (出版社URL)『法医は死者の代理人――一期一会の対話と法医学者という仕事』電子書籍 全142頁 (著者:石津 日出雄)――日本酒一合を飲んだとき、体からアルコールが消失する時間はどれ位でしょうか。1.1時間、2.3時間、3.9時間正解は本書「第七章 教師として」をご覧ください。法医学は、法律上問題となる医学事項を医学の知識や技術を
2014年6月9日発売 [900円+税] 草思社 (出版社URL)『法医昆虫学者の事件簿』 [原題:A FLY FOR THE PROSECUTION]文庫版 全288頁 (著者:マディソン・リー・ゴフ、訳:垂水雄二)死体に卵を産み付ける昆虫を分析し、驚くべき正確さで死亡時刻を推定する「法医昆虫学」。その第一人者が、殺人捜査におけるこのまったく新しい手法を紹介する。(※出版社サイトより)虫たちは決
2022年4月14日発売 [2700円+税] 大和書房 (出版社URL)『不自然な死因 イギリス法医学者が見てきた死と人生』四六判 全469頁 (著者:リチャード・シェパード、訳:長澤あかね)世界中が絶賛!イギリス法医学者が体験した9.11、ダイアナ妃の死、その他犯罪や事故による様々な死体から見た、生きるということ養老孟司氏が解説!「ページをめくる手が止まらない! 」タイムズ紙世界中が絶賛!63万

鍵穴銃創 [Keyhole gunshot wound]

今回は銃創の稀な所見の一つである"鍵穴銃創"について書いていきます。銃創自体については参考記事をご参照ください。銃器損傷①:射創の種類銃器損傷②:射創の距離銃器損傷③:射創の向きこの"鍵穴銃創"は、弾道を推定する際に有用な所見です。日本では銃創をあまり見ることがないので馴染みがないですが、海外のテキストを読んでみると書いてあったりしますね。大変興味深い所見ですので、取り上げます。鍵穴銃創 [key
医師は亡くなった方を診察(or検案)し、死亡診断書(or死体検案書)を作成します。その中に"死因の種類"という項目があります。この箇所は保険請求の際などに大変重要な項目になります。それでいて、なかなか判断に困ることが少なくない難しい項目なのです。(参考リンク:「"死因の種類"はなぜあるのか?」)その"難しさ"を伝えるために、私自身がよく使う【ロシアンルーレットは事故か?自殺か?】というテーマを今回
今回はしばしば解剖でも認められる肝臓の形態異常である"絞扼肝"について書いていきたいと思います。形態的異常とは言え、"絞扼肝"に臨床的意義(法医学上も)はほぼありません。言ってしまえば、「単に肝臓に溝が認められるだけ」というものですので、そこはご安心ください。絞扼肝・コルセット肝 [corset liver]:肝表面に縦に走る溝が認められた肝臓のこと。肝臓右葉S8の上面に1-3本程度認められること

硫化水素中毒

ガス中毒で"一酸化炭素"の次にイメージされるであろう気体が"硫化水素"です。"硫化水素中毒"は『自然災害・労働災害・人災』と多方面で認められる中毒です。そして、"硫化水素中毒死"すると当然外因死となるため、我々法医学者の元にやってきます。数でこそCO中毒が圧倒的ではありますが、それでも法医学本のガス中毒の目次には"硫化水素中毒"必ず載っています。今回はそんな"硫化水素中毒"についてみていこうとおも